セゲド市電

セゲド市電：ハンガリーの都市を彩る路面電車の歴史と現在

セゲド市電は、ハンガリーの都市セゲドを走る路面電車で、セゲド交通会社（SZKT）によって運営されています。その歴史は、19世紀後半に馬車鉄道として始まった後、電化を経て発展を遂げ、現在に至っています。

歴史：馬車鉄道から近代路面電車へ

1850年代から馬車による輸送が行われていたセゲドでは、1879年の大洪水からの復興に伴い、輸送需要が急増しました。これに対応するため、1884年に民間資本によって馬車鉄道が開業。当初は旅客輸送に馬車、貨物輸送にはスチームトラムが使用されていました。

開業翌年には年間30万人もの利用客を記録し、その後も利用客は増加の一途を辿ります。これに応えるため、運営会社はより効率的な輸送機関である路面電車への転換を決定。1909年以降、順次電化が進められました。

第一次世界大戦後、経済の低迷により輸送量が減少。運営企業も変遷を重ねる中、路線の延伸や近代化は小規模にとどまりました。しかし、第二次世界大戦では大きな被害を受けず、終戦後には早期の復旧を果たし、貨物輸送は生活物資の輸送にも貢献しました。

1945年には運営が公営化され、1950年にはセゲド路面軌道公社（SZVVV）、1955年にはセゲド交通公社（SZKV）へと名称が変更されました。

社会主義時代：路線網の縮小と近代化

1960年代以降、旧式の2軸車に代わり、ブダペストやデブレツェンで製造された連接車が導入されました。しかし、路線バスの発展と政府の方針により、1960年代後半から1977年にかけて多くの路面電車路線が廃止されました。

1970年代のオイルショック以降は廃止は行われず、残った路線は近代化が進められました。

民主化後：新たな車両導入と路線網の拡大

1990年代には、長年使用されていた連接車に代わってチェコ製のボギー車（タトラカー）が導入されました。2000年代以降は路線網の更なる近代化が進められ、2012年には新たな2号線が開業しました。車両面では、ドイツ各都市からの譲渡車両や、ポーランド製の超低床電車が導入され、社会主義時代の連接車は全て置き換えられました。

運営については、1994年以降、有限責任会社のセゲド交通会社が担当しています。

現在の路線網と運行系統

2021年7月現在、以下の系統が運行しています。

1号線
2号線

車両：多様なモデルが活躍

現在、セゲド市電で活躍している主な車両は以下の通りです。

T6A2H：1997年から1998年にかけて導入された、チェコのČKDタトラ製のボギー車。
KT4D-M、KT4D-ME：ドイツ各都市から譲渡された小型2車体連接車で、近代化工事が施されています。
B6A2D-M：ロストック市電から譲渡された付随車を電動車に改造した車両で、T6A2Hの後方に連結されます。
120Nb：ポーランドのペサが開発した超低床電車で、2012年に9両が導入されました。

この他にも、社会主義時代に製造された連接車の一部が動態保存されています。

今後の計画：トラムトレイン導入

セゲドと近隣のホードメゼーヴァーシャールヘイを結ぶトラムトレインの導入が計画されています。セゲド市内区間はハンガリー国鉄との連絡線を建設し、セゲド市電1号線へ直通運転を行う予定です。2021年の運行開始が予定されています。

セゲド市電は、歴史の中で様々な変遷を経て、現在も都市の重要な足として活躍しています。今後も新たな技術やサービスを取り入れ、市民の生活を支えていくことが期待されます。

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