セルビア王国 (中世)

セルビア王国の興亡

セルビア王国は、中世にバルカン半島西部に存在した王国です。その歴史は、南スラヴ人の一派であるセルビア人がこの地に南下してきたことに始まります。

ネマニッチ朝の成立

7世紀初頭、セルビア人はバルカン西部に南下し、9世紀後半には東ローマ帝国の影響下で正教を受け入れました。当初、セルビア人は「ジューバ」と呼ばれる部族共同体に分かれていましたが、12世紀後半にステファン・ネマニャが現れ、1168年に諸部族を統一しセルビア侯となります。その後、勢力を拡大し、1171年に国王として即位、ネマニッチ朝を創始しました。

ネマニッチ朝第二代のステファン・ネマニッチ（ステファン初代戴冠王）は、1217年にローマ教皇ホノリウス3世から王冠を授与され、「王国」としての地位を国際的に認めさせました。これにより、実質的なセルビア王国が建国されたとされています。

王国の拡大と最盛期

ステファン・ネマニッチの死後、セルビアは内紛が続きますが、ステファン・ウロシュ2世ミルティンの時代(1282年-1321年)には安定を取り戻し、東ローマ帝国や第二次ブルガリア帝国と対立しながら領土を拡大していきました。

14世紀前半に登場したステファン・ウロシュ3世デチャンスキは、1330年のヴェルブジュドの戦いでブルガリア軍を破り、バルカン半島の盟主となりました。さらに、ステファン・ウロシュ4世ドゥシャンは東ローマ帝国の内乱に乗じてマケドニア、テッサリア、イピロス、アルバニアを征服し、セルビア王国は最大領土を築き上げました。1346年には、ドゥシャンは「セルビア人とローマ人の皇帝」を自称し、東ローマ帝国の征服を企図しました。1349年にはドゥシャン法典を制定し、国家の基本法を確立、セルビア帝国の最盛期を築き上げたのです。

ネマニッチ朝の断絶とオスマン帝国の侵攻

しかし、1355年にドゥシャンが急死すると、セルビア帝国は急速に衰退していきます。各地で諸侯が自立する中、ドゥシャンの息子ステファン・ウロシュ5世は皇位を維持できず、ムルニャヴチェヴィチ家のヴカシンとの共同支配を余儀なくされました。ヴカシンはオスマン帝国軍と戦い敗死し、同じ年にウロシュ5世も死去、ネマニッチ朝は断絶します。

その後、諸侯が割拠する状況の中、ラザル・フレベリャノヴィチが主導的立場を固めていきましたが、オスマン帝国の侵攻が始まります。1389年、ラザルはコソヴォの戦いでオスマン軍と戦いますが敗北、捕虜となります。ムラト1世はセルビア人貴族によって暗殺されますが、その報復としてラザルも処刑されてしまいます。

オスマン帝国への臣従と滅亡

ラザルの死後、息子ステファン・ラザレヴィチはオスマン帝国に臣従し、セルビア公国としてその属国となります。ステファン・ラザレヴィチとその甥ジュラジ・ブランコヴィチは、ドナウ河畔のスメデレヴォを拠点に、オスマン帝国とハンガリー王国の間で巧みな外交政策を行い、国の命脈を保ちました。しかし、ジュラジの死後、政変が相次ぎ、オスマン帝国はセルビアを徐々に併合していきました。1459年、スメデレヴォがオスマン軍によって占領され、ここに中世のセルビア王国は滅亡しました。

歴代セルビア君主一覧

1168年 - 1371年'>[セルビア]]王国・[[ネマニッチ朝]

君主号: 大ジュパン(侯)(1346年-1371年'>[1168年]]-1217年) → 王(1217年-1346年) → [[皇帝]
自称セルビア王(1171年-1217年)

(1371年、ウロシュ5世及びシメオン・ウロシュ・パレオロゴス死去に伴いネマニッチ王家断絶／両者及びヴカシン死去に伴い帝国－王国解体)

セルビア公国

君主号: 侯(1371年-1389年) → 公(専制公, 1389年-1459年)
ブランコヴィチ家

(1459年6月30日、セルビア公国滅亡)

関連項目

* セルビアの歴史

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