スメデレヴォ

スメデレヴォ：セルビアの歴史と産業が息づく都市

スメデレヴォ（セルビア語: Смедерево / Smederevo）は、セルビアの首都ベオグラードから下流へ約40km、ドナウ川右岸に位置する都市です。ポドゥナヴリェ郡の郡都であり、2002年時点での市域人口は約77,808人、基礎自治体人口は約109,809人を数えます。

歴史

この地には古代、ダキア人やトラキア人が居住していました。1世紀にはローマ帝国が支配し、Vinceiaと呼ばれていました。現代のスメデレヴォの起源は、15世紀にセルビア公ジュラジ・ブランコヴィチが築いたスメデレヴォ要塞に遡ります。1430年にはセルビア公国の首都が置かれましたが、1439年にオスマン帝国に包囲されます。その後、オスマン帝国とハンガリー王国の間で平和協定が結ばれ、ブランコヴィチはスメデレヴォに戻ります。

しかし、フニャディ・ヤーノシュによって平和協定は破られ、セルビア王国はハンガリー公国とオスマン帝国の戦場となります。1454年、メフメト2世による包囲を受けセルビア公国は壊滅。フニャディによって町は解放されるものの、1459年にはスメデレヴォはオスマン帝国に攻略され、ブランコヴィチは死去します。その後、スメデレヴォはオスマン帝国の要塞となり、1526年まで続くオスマン・ハンガリー戦争の重要な拠点となりました。戦略的要地として再建・拡張され、長きにわたりオスマン帝国の行政区画であるサンジャクの首府が置かれました。

1476年秋には、ハンガリー王国とセルビアの合同軍がオスマン帝国の要塞攻略を試みましたが、メフメト2世によって撃退されます。その後もオスマン帝国に対する攻略が試みられましたが、いずれも失敗に終わりました。19世紀に入るとセルビア人の反乱が活発化し、オスマン帝国の力は衰退していきます。

第二次世界大戦中、スメデレヴォはドイツの占領下に置かれ、要塞は兵器庫として利用されました。1941年6月5日には要塞で大規模な爆発が起こり、数千人の市民が犠牲となりました。

産業

スメデレヴォは工業都市であり、セルビアの鉄鋼業の中心地です。かつて存在したSartidの工場は、2003年にUSスチールに買収されUSSセルビアとなりました。USSセルビアは7,000人以上の労働者を雇用しています。Milan BlagojevićはUSSセルビアに次ぐ重要な工場で、白物家電を製造しています。工業以外にも農業が盛んで、果物やワインの生産も行われています。食品生産では、Ishranaがパンの生産会社として重要で、セルビア北部や東部へ供給しています。

人口推移

スメデレヴォの人口は、歴史的に変動を繰り返してきました。以下に主な年の人口推移を示します。

1805年: 約4,000人
1834年: 3,907人
1874年: 8,343人
1948年: 14,206人 (都市), 24,761人 (全体)
2002年: 62,805人 (都市), 77,808人 (全体)
2008年: 67,684人 (都市), 84,456人 (全体)

2002年から2008年にかけては、コソボやメトヒヤから避難してきた人々により人口が急増しました。2002年現在の人口比率は、セルビア人が94.47%、ロマが2.13%を占めています。

姉妹都市

スメデレヴォは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

パレ（ボスニア・ヘルツェゴビナ）
ヴォロス（ギリシャ）
ヘルツェグ・ノヴィ（モンテネグロ）

出身者

スメデレヴォは、多くの著名な人物を輩出しています。

プレドラグ・シキミッチ（サッカー選手）
アレクサンダル・ミトロヴィッチ（サッカー選手）
マルコ・ミロヴァノヴィッチ（サッカー選手）
コスタ・ネデリコヴィッチ（サッカー選手）
ターニャ・サヴィッチ（歌手）

スメデレヴォは、豊かな歴史と文化、そして産業が息づく魅力的な都市です。

もう一度検索