セルビア石油産業

セルビア石油産業 (NIS: Нафтна Индустрија Србије)

セルビア共和国を代表する石油精製・販売企業であり、セルビア国内のエネルギー供給において重要な役割を担っています。

概要

NISは、旧ユーゴスラビア時代の石油公社Naftagasを前身としています。セルビア国内における石油精製、原油・石油製品の輸入において、最大手としての地位を確立しています。セルビア国内に広がる480箇所のガソリンスタンドを含む販売網は「NIS PETROL」のブランド名で展開されています。

民営化とガスプロムネフチの関与

かつては国営企業でしたが、民営化が推進され、2009年2月には株式の51%がロシアの石油大手ガスプロムネフチに売却されました。2011年時点での出資比率は、ガスプロムネフチが56.5%、セルビア政府が30%、一般公開株式が13.5%となっています。

国際展開

2010年代以降、NISはブルガリア、ルーマニア、ボスニア・ヘルツェゴビナなどの近隣諸国においても、製品販売網の拡大など事業展開を積極的に進めています。

本社所在地

本社はセルビア北部のヴォイヴォディナ自治州の州都、ノヴィ・サドに位置しています。

沿革

1991年 - ユーゴスラビアの石油公社Naftagas（1949年設立）を改組し、NISが発足。
1999年 - コソボ紛争時、各製油所がNATO軍による空爆を受け、大きな被害を受ける。
2005年10月 - 天然ガス事業部門を分離し、セルビアガスを設立。
2008年12月 - セルビア政府とガスプロムネフチ間で、NISの株式売買契約が成立。
2009年2月 - ガスプロムネフチによるNIS株式51%の取得が完了。

製油所

NISは、パンチェヴォとノヴィ・サドに製油所を所有しています。これらの製油所では、キキンダやスルボブラン等の国内油田で産出される原油、および輸入原油の精製を行っています。原油処理能力は、パンチェヴォ製油所が9.8万BPD、ノヴィ・サド製油所が11.7万BPDです。

コソボ紛争の影響と近代化

コソボ紛争において、各製油所がNATO軍による空爆を受けたことで、生産能力が大幅に低下しました。しかし、ガスプロムネフチの資本参加後、同社の支援を受け、2009年からパンチェヴォ製油所の近代化改修が行われました。この改修により、環境規制ユーロ5基準を満たす石油製品の生産体制が構築され、2012年に完了しました。その後もノヴィ・サド製油所の改修が進められています。

アドリアパイプラインとの接続

これらの製油所は、ユーゴスラビア時代に建設されたアドリアパイプラインによって、ボスニア・ヘルツェゴビナのボサンスキ・ブロド、クロアチアのシサク、リエカを経てリエカ港近くのオミシェリ備蓄基地まで結ばれています。

脚注・参考文献

大塚真彦 『旧ユーゴ便り』 第17回配信「エコロジーの相当ヤバい話」1999年4月
大塚真彦 『旧ユーゴ便り』 第58回配信「送油管を逆流させろ」2002年6月

関連項目

ベオペトロール
ガスプロムネフチ
セルビアガス

外部リンク

公式ウェブサイト
NIS Petrol website
Gazprom Petrol websites in the region
NIS profile on the Foreign Investors Council website

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