セーラー服通り

1986年 1月10日から同年3月28日まで、毎週金曜日の20時00分から20時54分にかけてTBS系列で放送されたテレビドラマシリーズです。全12話で構成され、TBSが制作を手掛けました。

あらすじ

物語の舞台は、校則が非常に厳しいことで知られる私立白弓学園。この学園に通う3人の女子生徒、紺野冬美、原秋子、生島夏樹が、共作で少女漫画を執筆し、「つづき春」というペンネームで雑誌に投稿したところ、これが採用されます。しかし、漫画の中に学校の先生をモデルにしたキャラクターが登場していたことが学園側に露見し、大きな問題へと発展してしまいます。3人は、この秘密を抱えながら、厳しい校則と向き合い、時にはそれを巧みにかわしながら、友情を育み、等身大の高校生活を送っていきます。

作品の特徴

本作は、『痛快!OL通り』や『痛快!ロックンロール通り』など、後に続く「〜通り」と冠するTBSドラマシリーズの第1弾として位置づけられています。当時の社会問題であった「校則」を一つのテーマに据えつつ、いわゆる「桜中学シリーズ」で教育現場を舞台にしたドラマで実績のあったTBSが、より生徒側の視点に寄り添い、コミカルなタッチで描こうとした意欲作と言えます。同時期に話題を集めた『毎度おさわがせします』のように、若者たちの日常を明るくリアルに描写しようとする姿勢がうかがえます。

主演は、前年の1985年にデビューした石野陽子さん（現在のいしのようこさん）で、本作が彼女にとって初の連続ドラマ主演作となりました。共演者には、後のC.C.ガールズ結成前の藤原理恵さん（原秋子役）、後に政治家となる蓮舫さん、タレントとして活動するちはるさん、俳優として活躍する竹内力さん、プロレスラーの長州力さん、ミュージシャンの嶺川貴子さんなど、多彩な顔ぶれが揃っています。生徒の理解者である美術教師を小堺一機さん、厳しい教頭を菅井きんさん、哲学者の校長を鈴木清順さんといった個性派俳優陣が演じ、物語に深みを与えています。また、物語の鍵となる漫画雑誌「ちゃお」の編集者を本間優二さんや長塚京三さん、夏樹のボーイフレンドを野村義男さんが演じています。

劇中、良いことがあった際に紺野、原、生島の3人が発する「ラッキー、チャチャチャ、ウー」という掛け声は、当時の視聴者の間でも流行するほどのインパクトがありました。

本作は、小学館の少女漫画雑誌『ちゃお』と企画が同時進行で進められた作品であり、実際に「つづき春」名義で漫画が連載されていました。ただし、これはドラマの原作漫画ではなく、メディアミックス展開として並行して制作されたものです。そのため、ドラマと漫画の内容は大きくシンクロしているわけではありませんが、ドラマの中には、実際に掲載された雑誌や漫画のネーム（下書き）、生原稿などが映り込むシーンも登場しました。漫画版はコミックスとして全2巻が刊行されています。

ドラマのロケは、主に横浜市山手地区にあったセント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジの校舎が使用されました（同校は2000年に廃校）。セット撮影は緑山スタジオで行われています。撮影時期が冬だったためか、出演者からはロケの寒さが印象に残っている、というエピソードも語られています。

この『セーラー服通り』の終了をもって、長きにわたり「桜中学シリーズ」をはじめとした学園ドラマなどを輩出してきたTBS系列金曜20時台のドラマ枠は廃止され、バラエティ番組枠へと転換されました。後番組として、人気番組『痛快なりゆき番組風雲!たけし城』がスタートしています。

放送終了後も根強い人気を誇っており、CS放送のTBSチャンネルではリクエストドラマ作品として常に上位に挙げられるなど、再放送への要望が高く、2007年には同チャンネルで再放送が実現しました。地上波でも、アナログ放送時代に2度再放送されています。

スタッフ・主題歌

原案・脚本は牛次郎氏が手掛け、安斎あゆ子氏、佐藤健氏も脚本に参加しました。音楽は難波弘之氏が担当し、印象的な劇伴を生み出しています。劇中漫画は「つづき春」が担当。演出は浅生憲章氏（プロデューサー兼任）、田代冬彦氏、山泉脩氏が務めました。

主題歌は、渡辺美里さんの大ヒット曲「My Revolution」が使用され、本作を象徴する楽曲となりました。劇中歌には、花村舞子役のMIEさんが歌う「Dreamer」が使われています。

その他

最終話を除く各話のサブタイトルは、「○○・ハートマーク・ほしい」という定型句で統一されている点も特徴です。

もう一度検索