ソールズベリー伯爵

ソールズベリー伯爵：イングランド貴族の爵位

ソールズベリー伯爵は、イングランド貴族の伯爵位の一つであり、その歴史は数奇な運命をたどってきました。過去に5回創設されており、それぞれの時代で重要な役割を果たした人物がその名を連ねています。エリザベス朝からステュアート朝初期にかけて宰相を務めたロバート・セシルが1605年に叙された5期目のものが、ソールズベリー侯爵位の従属爵位として現在まで続いています。

爵位の歴史

ソールズベリー伯爵の爵位は、12世紀半ばにパトリック・オブ・ソールズベリーのために最初に創設されました。その後、女系相続を経て代々継承され、5代目のアリス・ド・レィシーまで続きましたが、1322年にアリスの夫であるランカスター伯トマスがエドワード2世に対する反逆罪で処刑されたため、彼女もソールズベリー伯の爵位を返上することになりました。

1337年、ソールズベリー伯はエドワード3世の寵臣であるウィリアム・モンタキュートのために再創設されました。彼はスコットランドとの戦闘で功績を挙げた人物でした。

1428年、第4代ソールズベリー伯トマス・モンタキュートが百年戦争におけるオルレアン包囲戦で戦死すると、その娘であるアリス・モンタキュートが第5代ソールズベリー伯爵位を継承しました。彼女は初代ウェストモーランド伯爵ラルフ・ネヴィルの息子リチャード・ネヴィルと結婚しており、リチャード・ネヴィルも妻の権利で第5代ソールズベリー伯爵を継承しました。

リチャード・ネヴィルの息子であるリチャード・ネヴィルは、第16代ウォリック女伯爵アン・ビーチャムと結婚し、妻の権利でウォリック伯を継承するとともに、一代限りでウォリック伯に叙されました。彼はまた、母の死によって第6代ソールズベリー伯爵位も継承しました。リチャードは、ヨーク家とランカスター家の間で権力をふるい、「キングメーカー」として知られています。しかし、1471年のバーネットの戦いで戦死し、その爵位と所領はヨーク家に没収されました。

1472年、ソールズベリー伯はエドワード4世の弟であるクラレンス公ジョージに与えられました。クラレンス公はリチャード・ネヴィルの長女イザベル・ネヴィルの夫でした。しかし、イザベルの妹アン・ネヴィルがクラレンス公の弟であるグロスター公リチャード（後のリチャード3世）と結婚すると、リチャード・ネヴィルの遺産をめぐって兄弟の対立が激化しました。1476年にイザベルが亡くなると、クラレンス公にとって不利になり、1478年に反逆罪で処刑されました。

クラレンス公の後、ソールズベリー伯を継いだのは、グロスター公とアン夫妻の息子であるエドワード・オブ・ミドルハムでした。彼は父がリチャード3世として即位したため、プリンス・オブ・ウェールズになりましたが、翌1484年に急死し、爵位も消滅しました。1485年、クラレンス公の息子であるエドワード・プランタジネットが爵位を継承しましたが、ヘンリー7世にロンドン塔に投獄され、1499年に反逆罪で処刑されました。ソールズベリー伯は1513年にエドワードの姉マーガレット・ポールが復活させましたが、彼女も1539年に反逆罪で剥奪され、1541年に処刑されました。

その後、ロバート・セシルがジェームズ1世により1605年に第5期のソールズベリー伯爵に叙されました。この第5期のソールズベリー伯爵位が、現在まで現存しているソールズベリー伯爵位です。7代ソールズベリー伯爵ジェイムズ・セシルが1789年にソールズベリー侯爵に叙されて以降は、その従属爵位となっています。

ソールズベリー伯爵一覧

ソールズベリー伯 第1期（1145年頃創設）
ソールズベリー伯 第2期（1337年創設）
ソールズベリー伯 第3期（1472年創設）
ソールズベリー伯 第4期（1478年創設）
* ソールズベリー伯 第5期（1605年創設）

各期の詳細な継承者については、元の資料を参照してください。

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