ゾイド (架空の生物)

ゾイド

ゾイドは、動物の姿を模した金属生命体であり、兵器としても利用される架空の存在です。トミー（現タカラトミー）が展開する『ゾイド』シリーズに登場し、様々なメディアミックスを通じて多様な設定が展開されています。

概要

ゾイドは、1983年から1990年にかけて展開された第一期シリーズから登場しました。最初期の設定では、ゾイドは「ゾイド・ゾーン」と呼ばれる広大な星域に生息する生命体であり、地球人が探査や戦闘用に改造したとされていました。その後、共和国と帝国の対立という構図が確立するにつれて、惑星Zi（ジ）に生息する生物を改造した戦闘兵器という設定が加えられました。

関連媒体によってゾイドの扱いは異なり、『ゾイドバトルストーリー』ではゾイドコアを持つ金属生命体を兵器として改造したものとされています。一方で、アニメ作品『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』や『ゾイドフューザーズ』では、ゾイドが競技に用いられるなど、多様な設定が存在します。

『ゾイドバトルストーリー』におけるゾイド

『ゾイドバトルストーリー』の世界観では、惑星Ziに存在する生命体は金属生命体と呼ばれ、その中でもゾイドコアを持つものがゾイドと定義されています。

ゾイドコア

ゾイドコアは、ゾイドの遺伝情報や内臓などが凝縮された核であり、生命の源です。内部は高温高圧で真球状をしており、自ら重心を移動して動きます。ゾイドコアは、外部環境が変化しても、かつて生命が生まれた「高温高圧の原子海水」を再現する、生命のゆりかごとしての役割を果たします。外見は地球製の核分裂チャンバーに似ており、莫大な電力を生み出すことができます。ゾイドコアの大きさはゾイドによって異なります。

ゾイドはゾイドコアが活動している限り、多少の損傷は自己修復できますが、ゾイドコアが破壊されると回復不能となり死に至ります。第一期シリーズでは「ゾイド生命体」と呼ばれていましたが、「ゾイドコア」という名称は第二期シリーズ以降に定着しました。

野生ゾイド

野生ゾイドは、惑星Ziに自然発生したゾイドの群れです。野生ゾイド、『ゾイドバトルストーリー』の時代に絶滅した古代ゾイド、太古に家畜化されたゾイドなどを総称して金属外骨格生命体と分類されます。

惑星Ziでは、海中で発生した好熱性の細菌が化学合成によってエネルギーを得て進化し、体液を原始海水と同じにし、周囲に金属の殻を持つものが現れました。これが原始金属生命体であり、ゾイドカブトガニはその代表例です。その後、環境の変化に対応するためゾイドコアが発達し、惑星Zi特有の体構造を持つ金属外骨格生命体「ゾイド」が誕生しました。

恐竜型ゾイドが最初に繁栄しましたが、全球凍結によって絶滅し、動物型ゾイドがエネルギー効率の良さから繁栄しました。そのため、恐竜型ゾイドは古代ゾイドとも呼ばれます。

ゾイドの形態や生態が地球の生物に似ているのは、収斂進化によるものと考えられています。

ゾイドの起源に関する異説

ゾイドコアは古代文明人または異星人によって作られた人工生命体であるという説も存在します。この説は、原始金属生命体と金属外骨格生命体を繋ぐ種が存在しないことや、ゾイドが生物として不自然な点が多いことに基づいています。

野生ゾイドの生態

野生ゾイドの世界では、捕食者と被食者の生存競争が存在します。ゾイドはゾイドコアの発達によって、捕食した生物のタンパク質を体組織に、金属元素を骨格や外殻に転換できます。

原始金属生命体は同種の金属生命体を捕食してエネルギーを得ていました。その後、ゾイドコアを持つゾイドが進化したことで、ゾイドコアを中心とした食物連鎖が成立しました。草食性ゾイドは金属を含む食物から金属を吸収し、肉食性ゾイドは他のゾイドを捕食して養分を得ます。

野生ゾイドは成長すると体内に複数のコアと胚を作り、死後に拡散して幼体として成長します。コアには成体ゾイドの経験が遺伝情報として蓄積されており、幼体は水中の金属元素を吸収して骨格や外皮を形成します。大型ゾイドは成体になるまでに50年を要し、寿命は50年から200年ほどです。

第二期シリーズでは、惑星Zi大異変の影響で多くのゾイド原種が絶滅危惧種となり、保護政策がとられています。そのため、完全な野生体は希少で、強靭な生命力を持っています。

野生ゾイドの利用

惑星Zi人は捕獲した野生ゾイドを飼育し、狩猟時代には食料として利用していました。約1万年前からゾイドの品種改良が始まり、家畜化されたゾイドは運搬、作業、狩猟、競技、戦闘などに用いられるようになりました。品種改良によってゾイドは人為的に淘汰され、改造ゾイドのベースとしても利用されました。

戦闘ゾイド（メカ生体）

改造を施された生体兵器としてのゾイドは「メカ生体」と分類されます。ZAC1930年ごろからゾイド自体に手が加えられ、四肢を人工パーツに取り替えたり、コクピットを増設したりするようになりました。ZAC1900年以降にはゾイドコアに直接命令を伝えられるようになり、コアから連動した武器が開発されるようになりました。サイバネティックスパーツで体を置き換えることで運動性能を高め、最終的にはゾイドに直接武装を取り付け、巨大化させることで戦闘機獣が誕生しました。

ZAC2029年ごろには地球人との交流により、ゾイドの武装が進化し、レーザー兵器や誘導ミサイル、レーダーなどが開発されました。

戦闘ゾイドの性能は、基本的な能力、改造度、ゾイドの闘争本能、パイロットとの相性によって変化します。闘争本能が強い機体は高い戦闘能力を発揮しますが、搭乗できるパイロットが限定されます。改造度の少ないゾイドは個体差があり、同じ機種でも性能が異なる場合があります。

戦闘で損傷し乗り捨てられたゾイドが野生化したものは野良ゾイドと呼ばれ、凶暴化していることが多いとされます。

戦闘ゾイドのメンテナンス

戦闘機獣は繁殖能力を失い、ゾイドコアを捕食できません。そのため、人の手による整備と補給が不可欠となります。ゾイドコアを生存させるには、原始海水と同じ成分を定期的に補充し、人工の体を動かすためにはバッテリーやオイルが必要です。メカ生体となったゾイドのコアは、修理や改造のために取り外し可能な構造になっています。

戦闘ゾイドの操縦系統

初期にはゾイドの背に鞍を取り付けた簡素なものでしたが、ZAC1900年以降にはゾイドコアに電気信号を送ることで操縦するコントロール装置が作られました。生物解剖学の発達により、ゾイドコアを通して自律神経やホルモンバランス、筋力などをコントロールできるようになりました。中央大陸戦争時代には思考コントロール装置が存在し、パイロットからゾイドへ命令を送るシステムが普及しました。

ZAC2029年の地球人技術伝来後は、操縦系統のコンピュータ化が進みました。帝国側のゾイドはコンピュータ制御によって性能を画一化する傾向が強く、操縦性は良好ですが、生命力や闘争本能は低下しています。自動操縦機も実用化されています。

電子技術の発展は、妨害電波によって操縦系統を攪乱されるという弱点も露呈しています。このため、ゾイド側の本能に操縦を委ねる戦法も存在します。

戦闘ゾイドの運用

ZAC2029年以降は情報と通信を背景にした電子戦が行われるようになり、図形認識AIを用いたミサイルやコンピュータ化された火器管制などが実装されました。部隊構成の単位はゾイド3機で1個分隊、ゾイド10機で1個小隊、ゾイド30機で1個中隊、100機で大隊、5000機で5個師団とされています。惑星Ziの地形の複雑さから、複数の機種のゾイドを組み合わせて運用することが効果的です。

ゾイドに関する技術

サーボモーター

ゾイドの関節部分に使用されている機構で、整備性の効率化やコストを考慮して採用されました。特定機種ごとに規格が共通化されており、交換が容易です。

マグネッサーシステム

磁気風を発生させてゾイドを飛行させる技術ですが、ゾイドコアから発する電力を利用して駆動をアシストする効果も備わっています。陸戦ゾイドでは地上を高速滑走する効果をもたらし、ゾイドブロックスではパーツのチェンジマイズを迅速に行うために利用されています。

荷電粒子砲

荷電粒子を光速まで加速させて発射するビーム兵器で、物質を原子レベルまで分解する威力を持つとされます。

ディオハリコン

暗黒大陸の鉱物に含まれる特殊物質で、摂取したゾイドは体内でエネルギーを産出し、装備に利用できます。装甲に蒸着させることでビームを反射する防御力を発揮し、ゾイドコアに直接注入することでゾイドの凶暴化とコアの活性化を誘発します。

重力コントローラー

グローバリー3世号に用いられていた技術で、キングゴジュラスの駆動アシストに活用されていましたが、重力波を用いた攻撃にも転用できます。

エネルギーフィールド

重力コントローラー同様、キングゴジュラスに用いられていた技術で、巨体を支える効果があります。この技術を応用したエネルギー変換システムも存在し、無人ゾイドのコントロールに利用されています。

オーガノイドシステム

古代ゾイド人によって生み出された技術で、ゾイドの戦闘能力を向上させますが、ゾイド自身が狂暴になるだけでなく、パイロットの精神にも悪影響を及ぼします。

アニメ作品におけるゾイド

アニメ『ゾイド -ZOIDS-』では、全てのゾイドコアは古代ゾイド人が作り出したゾイドイヴから発生し、エネルギーもゾイドイヴから供給されているとされています。各機にはコンバットシステムが搭載されており、停止すると戦闘機能が停止します。

漫画『機獣新世紀ZOIDS』では、全てのゾイドはゾイドイヴから枝分かれした子孫であると説明されています。

アニメ『ゾイドジェネシス』では、旧時代の文明が崩壊した後に地下に埋没していたものを発掘して使用しており、戦闘ゾイドはレッゲルと呼ばれるゲル状の液体を燃料としています。

『ZOIDS concept art』では、地球からの入植船「ZOIC-NOA」が惑星ゾイドに生息していた原子金属生命体に地球生物の遺伝子を取り入れたものとされています。

『ゾイドワイルド』シリーズでは、数万年前に宇宙から飛来したゾイドコアより誕生し、地中に眠る骨格を発掘し、装甲を取り付けて復元される機械生命体とされています。

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