タイスン

タイスン：モンゴル帝国を支えた勇将

タイスン（生没年不詳）は、13世紀初頭にモンゴル帝国に仕えたジャアト・ジャライル部出身の千人隊長の一人です。彼は、帝国の拡大に大きく貢献しました。

生涯

タイスンはジャアト・ジャライル部のグウン・ゴアの子で、「四駿」の一人であるムカリの弟にあたります。兄とともにチンギス・カンに仕え、その才能を発揮して千人隊長に任ぜられました。

金朝遠征での活躍

タイスンの名が歴史に登場するのは、金朝遠征からです。チンギス・カンがムカリに金朝攻略の指揮権を委ねた後、タイスンはムカリの麾下で各地を転戦し、数々の戦功を挙げました。1219年には石天応の助けを得て洺州を攻略し、絳州の攻略時には尉遅天沢を見出しています。

ムカリの遺志を継ぐ

1223年、ムカリが病に倒れた際、タイスンを呼び寄せ、「汴京を攻略できなかったことだけが心残りだ」と言い残して亡くなりました。ムカリの遺言に従い、その地位を継いだ息子のボオルを支え、金朝との戦いに尽力。1225年には漢人軍閥の厳実とともに彰徳府を攻略し、1226年には山東の要衝である益都を攻囲しました。その結果、翌年には益都を拠点とする軍閥の李全が投降しています。

オゴデイ・カアンによる分撥

タイスンの晩年については記録が少ないですが、第2代皇帝オゴデイによる丙申年分撥の際、「帯孫郡王」として東平路東阿県に領地・領民を与えられています。

子孫

タイスンの息子モンケは、第4代皇帝モンケ・カアンに仕えました。モンケの息子のタタルダイは、モンケ・カアンの南宋親征に従軍しましたが、遠征先でモンケ・カアンが急死。タタルダイはモンケ・カアンの遺骸とともにモンゴル高原に帰還しましたが、クビライとアリクブケとの帝位継承戦争に巻き込まれました。

クビライへの忠誠

当時モンゴル高原はアリクブケ派が勢力を誇っていましたが、タタルダイはクビライこそが正当な後継者であると判断し、クビライの下へ逃れようとしました。しかし、アリクブケ派に捕らえられ、処刑されそうになります。モンケ・カアンの息子たちの助命嘆願により処刑は免れました。

クビライによる賞賛

1264年、内戦がクビライ派の勝利に終わると、タタルダイはクビライの下に参上。タタルダイの忠誠心を知ったクビライは彼を賞賛し、懐遠大将軍の地位を授け、その子孫は代々東平ダルガチの地位を世襲することとなりました。

ジャアト・ジャライル部タイスン家

グウン・ゴア（Gü’ün U’a ＞孔温窟哇/kǒngwēn kūwa）
ムカリ国王（Muqali guy-ong ＞木華黎国王/mùhuálí guówáng,موقلىكويانك/mūqalī kūyānk）
郡王タイスン（Tayisun ＞帯孫/dàisūn,طایسون/ṭāīsūn）
モンケ（Möngke ＞忙哥/mánggē）
タタルダイ（Tatardai ＞塔塔児台/tǎtǎértái）
トゥメテイ（Tümetei ＞禿満䚟/tūmǎndǎi）
ジャルグ（J̌arγu ＞札剌忽/zhálàhū）
クトルク（Qutluq ＞忽図魯/hūtúlǔ）


タイスンは、激動の時代を生き抜き、モンゴル帝国の発展に大きく貢献した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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