タイム100

TIME 100とは

アメリカのニュース雑誌『TIME』が、毎年発表する「世界で最も影響力のある100人」のリスト、およびその企画です。このリストは、単なる人気投票ではなく、各分野で世界に大きな影響を与えている人物を選出することを目的としています。

沿革

「TIME 100」の最初の企画は、1999年に「タイム100: 今世紀最も重要な人物」として発表されました。これは1回限りの企画でしたが、大きな反響を呼んだため、2004年からは毎年、その年の「最も影響力のある100人」を選出する企画として継続されています。

このリストは、1998年2月1日にワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ・センターで開催されたシンポジウムでの議論をきっかけに始まりました。このシンポジウムには、CBSニュースのアンカーパーソンのダン・ラザー、歴史家のドリス・カーンズ・グッドウィン、元ニューヨーク州知事のマリオ・クオモ、政治学教授（当時）のコンドリーザ・ライス、出版事業家のアーヴィング・クリストル、タイム誌編集者のウォルター・アイザックソンらが参加しました。

選考方法

選出された人々は、以下の5つのカテゴリーに分類されます。

Pioneers（パイオニア）：新たな道を切り開く先駆者たち
Artists（アーティスト）：芸術を通じて世界に影響を与える人々
Leaders（リーダー）：政治や経済など、社会を動かす指導者たち
Titans（タイタン）：各分野で頂点を極めた偉大な人物たち
Icons（アイコン）：時代を象徴する象徴的な存在

各カテゴリーから約20人（またはグループ）が選ばれ、合計で100人がリストに掲載されます。

選考基準

タイム誌の編集者は、選考対象者を以下の3つのタイプに分けて考えていると述べています。

1. 民主的なプロセスを経て権力を得た人々（例：政治家）
2. 表舞台には立たないが、現代の重要な問題に影響力を持つ人々（例：宗教指導者）
3. 道徳的な模範を示し、人々に影響を与える人々（例：人道活動家）

また、「TIME 100」は、単に話題性や人気、権力のある人物を選ぶのではなく、その人の理念、模範、才能、発見などが、世界を変える力を持っているかどうかを重視しています。ハードパワー（軍事力など）よりも、ソフトパワー（理念や模範など）を重視する傾向があります。

複数回掲載の人物

「TIME 100」に複数回掲載されることは非常に稀ですが、以下の人物は複数回選ばれています。

5回以上

オプラ・ウィンフリー

4回

バラク・オバマ
ヒラリー・クリントン

3回

ジョージ・W・ブッシュ

2回

アンゲラ・メルケル
ダライ・ラマ

その他多数

論争

「TIME 100」は、その選考基準や選出結果を巡って、しばしば論争を巻き起こします。

2004年には、当時の英国首相トニー・ブレアがリストから除外されたことが議論を呼びました。
2006年のアメリカ合衆国議会選挙で民主党が勝利した際、ジョージ・W・ブッシュが2007年のリストから外れたことに批判の声が上がりました。
2005年には、保守派コメンテーターのアン・コールターがリストに選出されたことが物議を醸しました。

ハッキング事件

2009年には、オンライン投票で匿名画像掲示板4chanの創設者mootが1位となりましたが、投票結果がハッカーによって編集されていたことが明らかになりました。

学術的研究

「TIME 100」は、学術的な研究対象としても注目されています。メリーランド大学の研究者たちは、オプラ・ウィンフリーがバラク・オバマを大統領に推薦したことによる影響力を分析し、その結果、彼女の推薦が選挙結果に大きな影響を与えた可能性があることを示唆しました。

結論

「TIME 100」は、単なるランキングリストではなく、その年の世界を動かす人々の動向を示す指標の一つとして、大きな影響力を持っています。選考基準や選出結果を巡って議論が起こることもありますが、このリストが社会に与える影響は無視できません。

参考文献

TIME公式サイト

関連項目

パーソン・オブ・ザ・イヤー

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