タシュメトゥ・シャラト

タシュメトゥ・シャラト：古代アッシリアの王妃

タシュメトゥ・シャラト（アッカド語: Tašmētu-šarrat / Tašmētum-šarrat、「タシュメトゥムは女王なり」）は、新アッシリア時代のアッシリア王妃であり、センナケリブ王（在位：紀元前705年-紀元前681年）の第一の配偶者として知られています。

生涯

彼女の名前はアッカド語で「タシュメトゥムは女王なり」という意味を持ち、これは彼女が王妃となった際に与えられた可能性があります。タシュメトゥムは、メソポタミア神話においてナブー神（アッシリアの王太子と密接に関連付けられていた）の配偶者でした。

タシュメトゥ・シャラトは、新アッシリア帝国内で影響力のある人物だったと考えられています。彼女の名前が刻まれた花瓶が神殿に奉納されており、彼女の地位を示す重要な史料となっています。これらの史料は、彼女がニネヴェ市とアッシュル市に邸宅を持っていた可能性を示唆しています。

センナケリブは、ニネヴェの南西宮殿の出入り口に、彼女への賞賛を込めた長文の碑文を刻ませました。その中で、彼は彼女を「最愛の配偶者」と呼び、彼女の美しさを讃え、宮殿で永遠に共に暮らしたいという願いを述べています。この碑文は、紀元前696年から紀元前693年の間に作成されたと考えられています。彼女に与えられた部屋は、居住用ではなく、国家活動や祝宴、レセプションのために使用されたと推測されています。

センナケリブとの結婚

彼女がいつセンナケリブと結婚したのかは不明です。結婚時に名前が与えられた場合、センナケリブが王位に就く前に結婚した可能性があります。彼女の若さを理由に結婚時期を推測する説もありますが、彼女が30代または40代だったとしても、センナケリブが彼女の容姿を称賛することは不自然ではありません。彼女はセンナケリブの最年長の子供たちの母親であった可能性も指摘されています。

ナキアとの関係

タシュメトゥ・シャラトの王妃としての在位期間は、ナキアと重複しています。ナキアはセンナケリブの後継者エサルハドンの母親であり、より有名です。センナケリブの子供たちの母親が誰であるかは不明な点が多く、ナキアがセンナケリブの在位中に王妃の称号を持っていたかどうかも定かではありません。しかし、エサルハドンの治世中には、ナキアは王妃として言及されることがありました。

もしタシュメトゥ・シャラトがセンナケリブの治世の終わりまで存命していた場合、エサルハドンが王太子に任命された後、彼女とナキアの関係は悪化していた可能性があります。エサルハドンの治世中の文書でタシュメトゥ・シャラトが言及されないことから、彼女は既に死亡していた可能性も考えられます。

紀元前681年のセンナケリブの死の直前に作成された粘土板には、アッシリア王妃の印章が押されており、センナケリブの死の時点で王妃が在位していたことがわかります。この王妃がタシュメトゥ・シャラトである可能性もありますが、ナキアであった可能性も否定できません。エサルハドンが王太子に任命された時には、ナキアが王妃となっており、タシュメトゥ・シャラトは既に死亡していたという説もあります。

タシュメトゥ・シャラトは、古代アッシリアの歴史において、センナケリブの王妃として重要な役割を果たした女性でした。彼女の美しさと、センナケリブとの関係は、碑文を通して現代に伝えられています。

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