タルトゥース県

シリアのタルトゥース県：地中海に抱かれた歴史と自然の宝庫

タルトゥース県は、シリアアラブ共和国を構成する14の県の1つです。地中海の沿岸部に位置し、豊かな自然と歴史的遺産を兼ね備えた地域として知られています。面積は約1890平方キロメートル（資料によって若干の差異あり）、人口は約75万人（2007年推計）と推定されています。県都は同名の港湾都市タルトゥースです。

地理と気候

シリア北西部の地中海岸に位置するタルトゥース県は、東はホムス県とハマー県、北はラタキア県、そして南はレバノンと国境を接しています。西側は地中海に面しており、穏やかな地中海性気候に恵まれています。この恵まれた気候条件は、農業と漁業の盛んな発展を支えています。

県の東部にはアン＝ヌサイリーヤ山脈がそびえ立ち、緑豊かな山岳地帯が広がっています。冬には雪が積もることもあり、美しい自然景観と過ごしやすい気候から、人気のリゾート地となっています。地中海沿岸の美しいビーチや、山岳地帯の爽やかな空気は、多くの観光客を魅了しています。

歴史と文化

タルトゥース県は、長い歴史を刻んできた地域です。十字軍時代には、マルガット城やサフィータのシャステル・ブランといった城塞が建設され、現在もその遺跡を見ることができます。これらの歴史的建造物は、当時の勢力争いや文化交流を物語る貴重な遺産として、観光客に歴史を感じさせるスポットとなっています。

2011年に発生したシリア内戦においては、この地域は比較的平穏を保ち、激しい戦闘の被害を免れてきました。そのため、歴史的建造物や自然環境も比較的良好な状態で保存されています。

行政区分

タルトゥース県は、5つの郡（アッ＝シャイフ・バドル郡、バニヤース郡、ドゥライキーシュ郡、サフィータ郡、タルトゥース郡）に区分されています。それぞれの郡には、独自の行政組織があり、地域社会の発展に貢献しています。バニヤースやサフィータといった都市は、郡の中心地として、商業や文化の中枢を担っています。

経済

穏やかな気候と肥沃な土地に恵まれたタルトゥース県では、農業が盛んに行われています。地中海に面していることから、漁業も重要な産業となっています。近年は、観光業も発展しており、県全体の経済を支える重要な要素となっています。港湾都市タルトゥースは、貿易の中心地としての役割も担っており、県全体の経済発展に貢献しています。

まとめ

タルトゥース県は、地中海に面した美しい自然と、歴史的建造物が共存する魅力的な地域です。穏やかな気候、豊かな自然、そして歴史的遺産を活かした観光業の発展は、この地域の未来を明るく照らしています。シリア内戦の影響を比較的受けなかったことから、歴史的建造物や自然環境は良好に保存されており、今後の発展が期待される地域です。

もう一度検索