タンクデサント

タンクデサントとは、歩兵が戦車に跨って移動・戦闘を行う戦術のことです。特に第二次世界大戦中のソ連赤軍でよく知られています。戦車跨乗部隊とも呼ばれます。

概要

本来、戦車は歩兵と連携して運用されることが理想です。戦車は視界が狭く、隠れた敵歩兵や対戦車兵器を खुद से 발견するのに苦労するため、歩兵による警戒・制圧が不可欠となります。しかし、歩兵が徒歩で戦車の機動速度に追随するのは困難です。通常は、歩兵を装甲車両などに搭乗させ、機械化歩兵として戦車に随伴させますが、車両が不足した場合などには、戦車に直接跨って移動することがあります。これがタンクデサントです。

タンクデサントでは、基本的には移動時のみ戦車に乗り、戦闘時には下車して戦いますが、状況によっては跨乗したまま戦闘に突入することもありました。

長所と短所

長所

戦車にとって、周囲警戒の目と反撃戦力が追加されるため、生存率の向上が期待できます。
戦車兵は、歩兵に拠点の構築や野営を手伝わせることで、負担を軽減できます。
歩兵を随伴させるための車両が不要になります。

短所

跨乗した歩兵は無防備であり、砲撃や銃撃に対して非常に脆弱です。戦車の上という目立つ場所にいるため、狙撃の危険性も高まります。
* 歩兵は、乗車を想定されていない場所に掴まって移動するため、疲労が蓄積しやすく、転落の危険性もあります。戦車も、歩兵の転落を防ぐために機動が制限されます。

歴史

ソ連赤軍

第二次世界大戦中、ソ連は戦車などの主力兵器の生産を優先し、兵員輸送車の生産が不足していました。アメリカからのレンドリース供与に頼る状況でした。そのため、歩兵を戦車に跨乗させるタンクデサントが多用されました。

1942年頃には、短機関銃を装備した兵士からなる「短機関銃中隊」が、威力偵察や奇襲、友軍援護のためにタンクデサントとして 활용されていました。戦車の各所には歩兵が掴まるための取っ手が設けられ、歩兵は対戦車砲や対戦車ロケット弾から戦車を保護する役割も担いました。

赤軍はタンクデサントを、歩兵を敵の塹壕に迅速に送り込む手段とみなし、跨乗させたまま戦闘に突入することも少なくありませんでした。そのため、タンクデサントを行う兵士の死傷率は非常に高く、平均寿命は2-3週間とも言われました。懲罰大隊の兵士が投入されることも多く、戦争後半になるほど懲罰大隊の編成数が増加しました。兵士の保護のため、金属製の鎧が配備されることもありましたが、効果は限定的でした。

戦後、ソ連軍はタンクデサントの犠牲の大きさを反省し、装甲兵員輸送車の開発に力を入れました。しかし、居住性や生存性に問題がある車両も多く、兵士は車外に乗ることを好む傾向がありました。ただし、ソ連軍の戦闘教義では、このような行為は容認されていませんでした。

戦後の訓練風景では、戦車に跨乗した兵士の姿が見られましたが、これはプロパガンダ目的であり、実戦で行われることはありませんでした。

日本軍

第二次世界大戦中の日本軍も、兵員輸送車が不足していたため、歩兵が戦車に便乗して移動することがありました。小型の日本戦車では跨乗が難しかったため、ドラム缶を取り付けるなどの工夫が行われました。前線への移動だけでなく、敵陣への突入時にも跨乗したままの歩兵が随伴することがありました。

第二次大戦後

ベトナム戦争時のアメリカ軍、アフガニスタン紛争でのソ連軍、チェチェン紛争でのロシア軍でも、装甲兵員輸送車の車上に兵士が乗って移動する 모습이 見られました。これは、地雷や攻撃からの回避を容易にするためでした。

現代におけるタンクデサント

RPGのような携帯対戦車兵器の普及により、歩兵戦闘車の防御力不足が問題視されるようになりました。装甲兵員輸送車の多くは軽量化されており、装甲が薄く、対戦車兵器に対して脆弱でした。そのため、兵士は車内での一網打尽を避けるために、車外に跨乗して警戒することがありました。特に、初期のM113やBTR-60/70などのガソリンエンジン車両は、燃料引火の危険性から兵士に嫌われました。

20世紀末には、砲弾片に有効なボディアーマーが普及し、タンクデサントの弱点である砲爆撃に対する脆弱性が軽減されました。市街戦では、視界の悪い装甲車が狙われやすいため、周囲警戒のために搭乗することがあります。

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