タンジェ＝カサブランカ高速鉄道

タンジェ＝カサブランカ高速鉄道（LGVモロッコ）

タンジェ＝カサブランカ高速鉄道は、モロッコ初の高速鉄道として2018年11月26日に開業しました。アフリカ初の高速鉄道であり、ムハンマド6世によって「アル・ブラク」と命名されました。

概要

この高速鉄道は、モロッコ国鉄（ONCF）が2005年に立案した広大な高速鉄道網計画の一部です。カサブランカとタンジェを結び、モロッコの大西洋岸と地中海岸の主要都市間の移動を高速化することを目的としています。

第1期区間はタンジェとケニトラ間の約200kmで、2017年2月に試運転が開始されました。当初の予定より遅れて2018年11月に営業を開始しました。これにより、タンジェとカサブランカ間の所要時間は従来の約5時間から2時間10分に短縮されました。

ケニトラ以南は在来線を利用し、高速車両は当初220km/hで走行します。ONCFは2029年までにケニトラとカサブランカ間の高速新線への置き換えを予定しており、実現すれば最高速度320km/hから350km/hでの走行が可能になり、タンジェとカサブランカ間の所要時間は1時間35分に短縮される見込みです。

沿革

2007年にタンジェとケニトラ間の高速鉄道に関する覚書が締結され、2010年には最終契約が署名されました。高速車両はアルストム製のTGVが採用され、2011年に着工されました。

車両

この路線には、輸送量増加に対応するため2階建て車両が導入されました。使用されるTGV 2N2は、モロッコの気候に適応し、在来線にも乗り入れ可能なように直流3000Vと交流25kVの両電源に対応しています。潜在的な最高速度は350km/hです。

今後の計画

モロッコ国内の各都市を結ぶTGVM計画では、カサブランカとウジダを結ぶマグリブ線、タンジェからカサブランカ、マラケシュを経てアガディールを結ぶモロッコ大西洋線の2路線が計画されています。

マラケシュまでの延伸計画

ONCFは、2029年までにカサブランカからムハンマド5世国際空港を経由してマラケシュまで高速鉄道を延伸する計画を発表しました。営業速度320km/hで走行し、タンジェとマラケシュ間の所要時間を3時間以内に短縮する予定です。

アガディールへの延伸計画

モロッコ国王は、マラケシュとアガディール間の230kmを高速鉄道で結ぶ公約を発表し、2022年にはONCFが設計を受注しました。2023年8月には中国の企業による地形・地質調査が開始されました。

他国への延伸構想

ジブラルタル海峡に海底トンネルを設け、アフリカとヨーロッパを鉄道で連結する構想があります。これにより、モロッコのラバトからスペインのマドリードまでを4時間、パリまでを8時間で結ぶことを目指しています。

また、マグリブ諸国の主要都市を結ぶ構想もあり、将来的にはカサブランカとアルジェを4時間で結び、さらにチュニスやトリポリへの延伸も視野に入れています。

参考

fr:LGV Tanger-Casablanca の 2012年4月19日 02:09 の版

関連項目

ジブラルタルトンネル
ムハンマド6世
モロッコの交通

外部リンク

ONCF公式サイト（英語）（フランス語） （アラビア語）
* 高速鉄道について解説する公式サイト（フランス語）

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