ダイハツ・ハイゼット

ダイハツ・ハイゼット：日本の軽商用車史を彩るロングセラーモデル

ダイハツ・ハイゼットは、1960年の発売以来、現在もなお生産が続けられているダイハツの軽貨物車です。軽トラック、軽バンともに60年以上の歴史を持ち、日本国内の軽商用車市場で圧倒的な存在感を示すロングセラーモデルとして知られています。本稿では、ハイゼットの歴史、バリエーション、技術革新、そして海外展開について詳細に解説します。

ハイゼットの歴史：時代と共に進化する軽商用車のアイコン

初代ハイゼットは、ボンネットタイプのライトバンと軽トラックでした。2代目からはキャブオーバータイプとなり、多くの軽商用車が追随する流れを作りました。その後、9代目ではバンを「カーゴ」と改名し、セミキャブタイプへと進化。現在のモデルもこの系譜を受け継いでいます。特にハイゼットトラックは、2010年から2023年まで14年連続で、軽・小型・普通トラックの車名別年間販売台数で首位を維持するなど、その人気は揺るぎないものがあります。

2021年には、「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞。時代を超えて愛されるデザインと高い実用性を評価されました。

多彩なバリエーション：幅広いニーズに応えるモデル展開

ハイゼットは、時代と共に多様なバリエーションを展開してきました。トラックでは、キャビン後部を延長した「ハイゼットジャンボ」や、荷室をオープンデッキ化した「ハイゼットデッキバン」など、独自のモデルが人気を博しました。デッキバンは、バンのホワイトボディを切断し、手作りで生産されるという独特の生産方式も特徴です。

バン系では、「ハイゼットカーゴ」とそのハイブリッドモデル、そして電気自動車モデルもラインナップ。ハイゼットは、1968年から電気自動車を生産しており、累計1000台以上の販売実績があります。さらに、パネルバン、ダンプ、冷凍車、消防車、霊柩車など、多様な特装車も存在し、そのバリエーションは80種類以上にのぼります。

OEM供給とグローバル展開：3ブランドで販売される軽自動車の代表格

2011年からはトヨタ自動車に「ピクシストラック」「ピクシスバン」として、2012年からは富士重工業（現SUBARU）に「サンバー」としてOEM供給を開始。3ブランドで販売される「3兄弟車」という異例の展開を実現しました。

海外展開も積極的で、イタリア、韓国、インドネシア、中国などで現地生産が行われてきました。イタリアではピアッジオと提携し「ポーター」として販売。韓国では起亜自動車が「タウナー」として生産しました。インドネシアでは、現行モデルをベースにした「ハイマックス」を現地生産。中国では天津汽車と柳州五菱汽車の2社がそれぞれ異なる系列のハイゼットを生産しています。

各世代の特徴：時代を反映したデザインと技術

各世代のハイゼットは、時代の技術革新とユーザーニーズを反映した進化を遂げてきました。初代から10代目まで、ボディ形状、エンジン、安全装備、快適装備などが大きく変化。それぞれの世代に特徴的なデザインや技術が盛り込まれており、日本の軽商用車史を語る上で重要なモデルとなっています。特に近年では、安全装備の充実や燃費性能の向上に力を入れています。

11代目ハイゼットカーゴ：DNGAプラットフォームと先進技術の融合

2021年にフルモデルチェンジを果たした11代目ハイゼットカーゴは、ダイハツの新しいコモンアーキテクチャー「DNGA」を採用。高い安全性能と燃費性能、そして使い勝手の良さを両立しています。衝突回避支援システム「スマートアシストIII」は全車標準装備され、パワースライドドアも採用。さらに、スマートフォン連携ディスプレイオーディオもオプションで用意されています。

まとめ：軽商用車の未来を担う存在

60年以上にわたる歴史の中で、ハイゼットは常に進化を続け、日本の軽商用車市場を牽引してきました。多様なバリエーション、高い信頼性、そして先進技術の導入により、これからも日本の商用車の代表格として、その存在感を示し続けるでしょう。

もう一度検索