ダイレクト・ヒッツ (ザ・フーの編集アルバム)

ザ・フー初のコンピレーション・アルバム『ダイレクト・ヒッツ』

『ダイレクト・ヒッツ』（Direct Hits）は、ザ・フーが1968年にイギリスでリリースしたコンピレーション・アルバムです。これは、彼らにとって初のコンピレーション・アルバムであり、初期の代表曲を網羅した作品として、重要な位置を占めています。

リリースと背景

このアルバムは、マネージャーのキット・ランバートとクリス・スタンプが設立したトラック・レコードから1968年10月18日にリリースされました。ザ・フーにとってイギリスで4作目のアルバムであり、トラック・レコードからのリリースとしては『セル・アウト』（1967年）に続く2作目です。

収録曲は、1966年から1968年の間にリアクション・レコードとトラック・レコードから発表された楽曲から厳選されています。これにより、ザ・フーの初期の勢いと多様な音楽性をまとめて体験できる内容となっています。

アルバムに初収録された楽曲

『ダイレクト・ヒッツ』には、当時アルバム未収録だった以下の楽曲が収録されており、ファンにとっては貴重な音源集としての側面も持っています。

1. 「バケット・T」
2. 「恋のピンチ・ヒッター」
3. 「アイム・ア・ボーイ」
4. 「イン・ザ・シティ」
5. 「ハッピー・ジャック」
6. 「リリーのおもかげ」
7. 「ドクター・ドクター」
8. 「ラスト・タイム」
9. 「ドッグス」
10. 「コール・ミー・ライトニング」

これらの楽曲は、ザ・フーの初期の代表作であり、彼らのエネルギッシュな演奏とピート・タウンゼントの鋭いソングライティングが光る作品群です。

特記事項

「マリー・アンヌ」は、アルバム『セル・アウト』に収録されたものとは異なり、シングル『恋のマジック・アイ』のアメリカ盤B面に収録されたバージョンが使用されています。この点も、このコンピレーション・アルバムのユニークな点と言えるでしょう。

日本での復刻

2007年には、日本でオリジナルマスターを使用した紙ジャケット仕様の復刻版CDが限定発売されました。これにより、オリジナルの雰囲気を再現した形で、この名盤を再び楽しむことができるようになりました。

参加ミュージシャン

ロジャー・ダルトリー（Roger Daltrey） – ヴォーカル
ピート・タウンゼント（Pete Townshend） – ギター、キーボード、ヴォーカル、ベース・ギター
ジョン・エントウィッスル（John Entwistle） – ベース・ギター、金管楽器、ヴォーカル
キース・ムーン（Keith Moon） – ドラムス、リード・ヴォーカル

ザ・フーの黄金期を支えた、この4人の個性的で才能あふれるメンバーによる演奏は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

『ダイレクト・ヒッツ』は、ザ・フーの初期の魅力を凝縮した、まさに「ダイレクト」な作品集です。彼らの音楽のルーツを探る上で、欠かすことのできない一枚と言えるでしょう。

もう一度検索