ラスト・タイム

ラスト・タイム：ローリング・ストーンズの不朽の名曲

1965年、ローリング・ストーンズによって世に送り出された「ラスト・タイム」(The Last Time)は、バンドのキャリアにおいて重要な位置を占める楽曲です。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞作曲されたこの曲は、イギリスとアメリカ両国でシングルとしてリリースされ、大きな成功を収めました。

チャート成績とレコーディング

イギリスでは、トム・ジョーンズの人気曲を抑えて3週連続でチャート1位を獲得するという快挙を達成しました。アメリカでもトップ10入りを果たし、オリジナル曲としては初の快挙となりました。

レコーディングはロンドンのキングスウェイ・スタジオとハリウッドのRCAスタジオで行われ、バンドメンバーに加え、イアン・スチュワート（ピアノ）とジャック・ニッチェ（タンブリン）も参加しています。ブライアン・ジョーンズのリードギターとキース・リチャーズのアコースティックギター、そして印象的なギターソロは、楽曲に深みを与えています。なお、この曲はアメリカのゴスペルグループ、ステイプル・シンガーズの楽曲から着想を得たと言われています。

批評家の評価と文化的影響

「ラスト・タイム」に対する批評家の評価は様々で、「出来が良いが少し長い」という意見から「ストーンズ最高の作品」という絶賛までありました。キャッチーなメロディーは当時、日本のファンクラブ内で「商業的すぎる」という議論を巻き起こすほど、大衆的な人気を博しました。B面曲「プレイ・ウィズ・ファイア」も高い人気を集め、アメリカではBillboard Hot 100で96位にランクインしました。

ライブパフォーマンスとアルバム収録

「ラスト・タイム」は1965年から1967年にかけて頻繁にライブで演奏されましたが、その後は長らく演奏されることはありませんでした。しかし、2012年から2013年のツアーで再び演奏されるようになり、再びファンの前で披露されるようになりました。また、ライブアルバム『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』と『ノー・セキュリティ』にも収録されています。スタジオアルバムでは、アメリカ盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』、イギリス盤『ビッグ・ヒッツ (ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)』に収録されています。

著名なカバー

「ラスト・タイム」は多くのアーティストによってカバーされていますが、特に注目すべきはアンドリュー・オールダム・オーケストラとザ・フーによるカバーです。

アンドリュー・オールダム・オーケストラによるカバーは、ストーンズの初代マネージャーであるアンドリュー・ルーグ・オールダムが企画したプロジェクトで、1966年のアルバム『The Rolling Stones Songbook』に収録されました。シンフォニックなアレンジが施され、原曲とは異なる雰囲気に仕上がっています。このバージョンは後にザ・ヴァーヴがサンプリングに使用し、著作権問題に発展したことは有名です。

ザ・フーによるカバーは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズが逮捕された事件に抗議する形で、急遽レコーディングされました。ベーシストのジョン・エントウィッスルが不在だったため、ピート・タウンゼントがベースを担当しています。

まとめ

「ラスト・タイム」は、ローリング・ストーンズの代表曲として、音楽史にその名を刻んでいます。キャッチーなメロディーと高い演奏技術、そして様々なエピソードは、この曲が持つ魅力をさらに高めています。チャートでの成功、ライブパフォーマンス、そしてカバーバージョンを通して、「ラスト・タイム」は世代を超えて愛され続ける、不朽の名曲と言えるでしょう。 この曲は、ローリング・ストーンズの初期の成功を象徴するだけでなく、音楽業界における著作権や法的問題についても示唆を与えてくれる、興味深い楽曲です。 様々な角度から見れば見るほど、その魅力はより深く理解できるでしょう。

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