ダグラス DC-4E

概要

ダグラス DC-4E（Douglas DC-4E）は、アメリカ合衆国のダグラス・エアクラフト社によって開発された大型のレシプロ旅客機の試作モデルです。1935年に開発が開始され、1938年に初飛行を果たしましたが、実際の旅客運航には至らず、試作機が1機のみ存在する状況で開発は終了しました。後に登場したDC-4と名前が似ていますが、これらの機体には直接の関係はありません。

開発背景

DC-4Eの開発は、特にユナイテッド航空からの「DC-3よりもさらに大型の機体が必要」という要望に基づいていました。これに応える形で、ダグラス社は4発のレシプロエンジンを持つ旅客機の設計を開始し、1935年にはその計画に本格的に着手しました。アメリカン航空やイースタン航空など、他の航空会社もこのプロジェクトに興味を示し、各社がそれぞれに10万ドルの開発援助を行うなど、期待されていたことが伺えます。

DC-4Eは、当時としては珍しい3枚の垂直安定板を採用し、42名が搭乗できる設計で、また2基のエンジンのみで離陸することもできる優れた機能を備えていました。

初飛行と評価

1938年6月7日、DC-4Eはサンタモニカのクローバーフィールド飛行場（現・サンタモニカ空港）で初めて飛行しました。1939年にはユナイテッド航空により、定期路線就航を視野に入れた評価飛行が行われました。操縦性能には問題が見られなかったものの、エンジンの出力に対して機体が重く、また設計があまりにも複雑であったため、維持管理のコストが高いという問題が浮上しました。これらの理由から、DC-4Eは試作機のみで開発が終了し、その後はよりシンプルな機体の設計に移行することとなりました。

機体の特徴

DC-4Eは、以下の仕様を持っていました：

• - 乗員数：3名
• - 乗客数：42名
• - 全長：29.83メートル
• - 全幅：42.16メートル
• - 高さ：7.40メートル
• - 翼面積：200.2平方メートル
• - 自重：19,308キログラム
• - 最大離陸重量：30,164キログラム
• - エンジン：プラット・アンド・ホイットニーR-2180-S1A1-Gツインホーネットレシプロエンジン（1基あたり1,450馬力×4基）
• - 最高速度：394キロメートル/時
• - 航続距離：3,540キロメートル
• - 実用上昇限度：6,980メートル

後の展開

開発が中止されたDC-4Eは、1939年に日本海軍によって購入され、同軍はこの機体を基に「深山」という大型の陸上攻撃機の設計を進めました。しかし、「深山」はDC-4Eの持つ欠点が顕著に受け継がれてしまい、重量超過や整備性の悪さから、結局量産には至らず試作機のままで終わってしまいました。その結果、日本海軍の兵器としては「深山」はあまり評価されず、失敗作と見做されています。

結論

ダグラス DC-4Eは、その革新的な設計と期待を背負って登場したものの、経済性や整備性の課題から旅客機として成功を収めることはできませんでした。その後のDC-4への流れを生んだ試作機として、その歴史は重要な位置を占めています。

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