ダットサン・on-DO

ダットサン on-DO：ロシア市場に向けた小型セダン

ダットサン on-DOは、日産自動車がロシア市場においてダットサンブランドで販売していた小型セダンです。2014年、日産自動車CEOカルロス・ゴーン氏の方針の下、インドなど新興国で既に展開していたダットサンブランドがロシアに進出。その戦略車として、on-DOが誕生しました。

発表は2014年4月。同年7月には生産が開始されました。on-DOはロシア国内での販売のみに限定され、輸出は計画されていませんでした。これは、ロシア市場に特化した戦略の一環として理解できます。その後、2020年に日産がロシアでのダットサン事業から撤退したことに伴い、on-DOの生産も終了しました。

開発と製造

on-DOの開発において特筆すべき点は、そのベース車両にあります。on-DOは、ロシアの自動車メーカーであるアフトヴァースが製造するFFセダン、『ラーダ・グランタ』をベースに開発されました。デザインは日産グローバルデザインセンター（厚木市）が担当しましたが、開発の大部分を担ったのはアフトヴァースでした。グランタのメカニズムを流用することで開発期間の短縮とコスト削減を実現したと考えられます。製造は、アフトヴァースのトリヤッチ工場で行われました。

車両仕様

on-DOのボディサイズは、全長4,337mm、全幅1,700mm、全高1,500mm、ホイールベース2,476mmと、コンパクトな設計が特徴です。エンジンは、アフトヴァース製の1.6L直列4気筒SOHC 8バルブ（1気筒あたり2バルブ）を搭載。最高出力は87馬力でした。トランスミッションは、フロア式の5速MTのみの設定でした。

ロシア市場における位置づけ

on-DOは、ロシアの経済状況や市場特性を考慮した戦略車でした。比較的低価格で、ロシアの道路事情に適した実用的な車両として開発され、多くのロシアのユーザーに受け入れられました。しかし、市場環境の変化や日産の事業戦略変更に伴い、生産終了という結果となりました。on-DOは、日産のグローバル戦略において、新興国市場開拓の一端を担ったモデルと言えるでしょう。また、兄弟車としてダットサンmi-DOも存在し、ハッチバックタイプの車体でラインナップを拡充していました。

まとめ

ダットサンon-DOは、ロシア市場に特化して開発・販売された小型セダンです。ラーダ・グランタをベースとすることでコストを抑え、ロシアの消費者のニーズに応える車両として一定の成功を収めました。しかし、日産のロシア事業撤退により、短い歴史に幕を閉じました。on-DOは、日産のグローバル戦略、特に新興国市場へのアプローチを理解する上で重要な事例として、今後も自動車史の中に記録されることでしょう。

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