ダブリン工科大学

ダブリン工科大学（Technological University Dublin）

ダブリン工科大学（TUD）は、アイルランドの首都ダブリンに本部を置く国立大学です。2019年1月1日に、ダブリン技術学院（DIT）、タラ技術学院（ITT）、ブランチャーズタウン技術学院（ITB）の3校が統合して設立されました。アイルランドで初めての工科大学であり、国内有数の規模を誇ります。

大学概要

ダブリン工科大学は、工学、理学、ビジネス、人文科学など、幅広い分野を網羅した教育・研究機関です。学生数は約28,500人と、アイルランド国内ではユニバーシティ・カレッジ・ダブリンに次ぐ規模を誇ります。大学の歴史は、1887年に設立されたダブリン市技術学校にまで遡り、技術教育の長い伝統を受け継いでいます。

また、ヨーロッパ工科大学連合EUt+に加盟しており、国際的な連携にも積極的に取り組んでいます。EUt+を通じて、ヨーロッパ各国の学生、教員、キャンパスが連携し、持続可能な未来を築くための活動を推進しています。

大学評価

ダブリン工科大学は、国際的な大学ランキングでも評価されています。クアクアレリ・シモンズ（QS）による「QS世界大学ランキング2024」では、世界851〜900位にランクインし、国内8位となっています。また、工学分野では世界501〜530位にランクインしています。過去には、ダブリン技術学院時代に世界395位（2010年）にランクインしたこともあります。タイムズ・ハイアー・エデュケーション（THE）の「THE世界大学ランキング2023」では、世界1001〜1200位にランクインし、国内9位となっています。

入学試験

ダブリン工科大学の学士課程への入学は、中央出願局（CAO）を通じて行われます。CAOは、アイルランド、イギリス、欧州連合（EU）および欧州自由貿易連合（EFTA）の学生の出願手続きを担当しています。入学選考は学力に基づいて行われ、最低限の入学要件に加えて、各学部・コースごとに異なる入学要件が設定されています。医学系や芸術系など、一部の学部・コースでは特別な試験が必要となる場合もあります。CAOは、アイルランドの国家統一高校卒業試験であるリービング・サーティフィケートの結果に基づいて合否を決定します。また、イギリスの一般教育修了上級レベル（Aレベル）や、フランスのバカロレアなどのEU諸国の試験、国際バカロレアでも出願が可能です。EU圏外の学生には、異なる出願手続きが適用されます。短期コース、技能実習コース、大学院課程への入学は、大学が直接担当しています。

沿革

ダブリン工科大学の起源は、1887年に設立されたダブリン市技術学校に遡ります。この学校は、技術教育の普及を目指して設立され、後に複数のカレッジへと発展しました。主なカレッジには、ケビン通り技術カレッジ（1887年）、チャタム・ロウ音楽カレッジ（1890年）、ラスマインズ商業カレッジ（1901年）、マウント・ジョイ・スクエア・マーケティング・デザイン・カレッジ（1905年）、ボルトン通り技術カレッジ（1911年）、キャサル・ブルガ通り・ケータリング・カレッジ（1941年）があります。

2014年には、ダブリン技術学院、タラ技術学院、ブランチャーズタウン技術学院が統合に向けた動きを開始しました。3校は「ダブリン工科大学同盟（TU4Dublin）」を設立し、工科大学としての認可を政府に申請しました。2018年に工科大学法が制定され、2019年1月1日にダブリン工科大学が正式に設立されました。

キャンパス

ダブリン工科大学は、以下の主要な5つのキャンパスで構成されています。

グランジゴーマンキャンパス（ダブリン7区）
アウンジャー通りキャンパス（ダブリン1区）
ボルトン通りキャンパス（ダブリン2区）
タラキャンパス（南ダブリン）
ブランチャーズタウンキャンパス（ダブリン15区）

かつてダブリン技術学院が使用していたケビン通り、キャサル・ブルガ通り、ラスマインズの各キャンパスは、2020年にグランジゴーマンキャンパスに移転しました。

組織構成

ダブリン工科大学の初代学長には、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの工学部長であったデビッド・フィッツパトリックが就任しました。大学運営組織の秘書は、デニス・マーフィーが務めています。

学部・研究科

ダブリン工科大学には、以下の学部・学科・研究科があります。

理保健学部
生物健康科学科
化学薬学科
情報学科
食品科学・環境衛生学科
数理学科
物理・臨床・検眼科学科
工学建築環境部
建築環境学科
電気電子工学科
機械工学科
測量建設イノベーション学科
交通土木工学科
経営学部
経理・財務学科
マネジメント学科
マーケティング学科
小売・サービス経営学科
大学院ビジネススクール
販売促進学科
芸術観光学部
創造芸術学科
料理学科
ホスピタリティ・経営・観光学科
言語・法律・社会学科
メディア学科
音楽演劇学科

教育と研究

ダブリン工科大学は、アイルランド国家資格フレームワーク（NFQ）レベル6からレベル10までの幅広い教育プログラムを提供しており、パートタイムコースも充実しています。研究活動は、環境・エネルギー・健康、情報通信・メディア技術、新素材・新デバイス、社会・文化・企業という4つの主要テーマに焦点を当てており、基礎研究と応用研究の両面で積極的に取り組んでいます。

学生生活

学生自治会（TU Dublin SU）は、2019年7月に設立され、学生生活をサポートしています。また、各キャンパスでは、様々なスポーツクラブやサークル活動が活発に行われています。

国際交流

ダブリン工科大学は、世界中の約250の大学と学術交流協定を締結しており、国際的な教育・研究活動を推進しています。特に東アジアの大学との連携も盛んであり、釜慶大学校、漢陽大学校、慶北大学校（韓国）、北京語言大学（中国）などとの交流があります。

ダブリン工科大学は、アイルランドを代表する工科大学として、これからも教育と研究の発展に貢献していくことが期待されます。

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