ダーウィン山脈

ダーウィン山脈

ダーウィン山脈（スペイン語: Cordillera Darwin、英語: Darwin Range）は、南アメリカ大陸の最南部に位置するフエゴ島の山脈です。その全域がチリ領内にあり、広大な氷河に覆われています。

地理

フエゴ島の南西部に横たわるダーウィン山脈は、南アメリカ大陸を南北に縦断するアンデス山脈の最南端部分にあたります。ただし、アンデスの主脈とは異なり、この山脈は東西方向に伸びています。その西端はマゼラン海峡に近い場所、東端はジェンデガイア谷付近に位置しています。

山脈を構成する多くの峰は標高2,000メートルを越え、特にそびえ立つ最高峰はダーウィン山と呼ばれ、標高は2,488メートルまたは資料によっては2,580メートルとされています。気候は厳しく、登山に適した季節は夏の終わり頃、具体的には12月末から3月にかけてです。

ダーウィン山脈は広大な山岳氷河地帯を形成しており、その面積は2,300平方キロメートル以上に及びます。山脈から流れ出す有名な氷河の一つにマリネリ氷河がありますが、少なくとも1960年代以降、多くの氷河は後退傾向を示しています。この山脈とそこに広がる氷河群は、チリのアルベルト・デ・アゴスティニ国立公園の中心的な景観となっています。

歴史と探検

この山脈の最高峰に「ダーウィン」の名が冠されたのは、イギリスの調査船ビーグル号の歴史的な航海に由来します。1831年から1836年にかけての世界一周航海の途中、ビーグル号は1832年末にティエラ・デル・フエゴへ到達しました。艦長ロバート・フィッツロイは、この航海に同行していた若き博物学者チャールズ・ダーウィンの25歳の誕生日を記念し、1834年に山脈の最高峰をダーウィン山と名付けました。この地域には、他にもダーウィン湾など、ダーウィンの名にちなむ地名がいくつか存在します。

未踏の部分が多かったダーウィン山脈への本格的な探検は、比較的近年に始まりました。1962年には、著名な登山家・探検家であるエリック・シプトンが3人の仲間と共に、ダーウィン山脈の初の縦走を成し遂げました。この探検の過程で、シプトン隊はダーウィン山の三つの頂上を含むいくつかの主要峰に初登頂を果たしました。近年では、2011年10月にフランス陸軍山岳部隊（Groupe Militaire de Haute Montagne）のチームが29日間をかけて山脈を縦走するなど、この峻厳な山脈への挑戦が続けられています。

主な山頂

ダーウィン山 (Monte Darwin) - 標高 2,488 m または 2,580 m
サルミエント山 (Monte Sarmiento) - 標高 2,246 m
イタリア山 (Monte Italia)
ボーベ山 (Monte Bove) - 標高 2,300 m
ロンカグリ山 (Monte Roncagli)
ルイス・デ・サボヤ山 (Monte Luis de Saboya)
デッラ・ヴェドヴァ山 (Monte Della Vedova)
バックランド山 (Monte Buckland) - 標高 1,746 m

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