チェリオ (イタリア)

チェリオの丘：ローマの歴史を彩る七つの丘の一つ

チェリオの丘（イタリア語: Colle Celio, ラテン語: Mons Caelius）は、ローマの七丘の一つであり、古代ローマ時代から重要な役割を果たしてきた場所です。アウレリアヌス城壁で囲まれたローマ市街地の南東に位置し、その歴史と景観は訪れる人々を魅了します。

地理的な特徴

チェリオの丘は、マッジョーレ門付近の高台を起点とし、南西方向に約2kmにわたって伸びる細長い丘です。幅は400mから500mで、丘の先端にはサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂が建っています。西側にはサン・グレゴリオ通りを挟んでパラティーノの丘、北側にはラビカナ通りやマンツォーニ通りを挟んでエスクイリーノの丘が位置しています。20世紀末時点での標高は51mで、エスクイリーノの丘に次いで2番目に高い丘です。

歴史的な背景

伝承によれば、ローマ王政時代にトゥッルス・ホスティリウスがアルバ・ロンガを破壊した際、アルバからローマに移住した人々がこの丘に住み始めたとされています。チェリオの丘は、初期ローマの七丘の一つとしても数えられ、都市ローマの発展に重要な役割を果たしました。

ローマの七丘の変遷

ローマの七丘は時代によって定義が変化しています。以下に、その変遷を示します。

1. 初期ローマの七丘
- 都市ローマ成立前に人が定住したとされる七つの丘。
- オッピウス（オッピオ）、パラティウム（パラティーノの東側）、ウェリア（ヴェーリア）、ファグタル（オッピオの一部）、ケルマルス（パラティーノの西側）、カエリウス（チェリオ）、キスピウス

2. 都市ローマの七丘
- 都市ローマの起源となった七つの丘。
- アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、カエリウス（チェリオ）、エスクイリヌス（エスクイリーノ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ウィミナリス（ヴィミナーレ）

3. 現代のローマ七丘
- 現代において一般的に認識されている七つの丘。
- アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ホルトゥロルム（ピンチョ）、ヤニクルム（ジャニコロ）、オッピウス（オッピオ）

見どころ

チェリオの丘には、数多くの歴史的な建造物や見どころがあります。

マッジョーレ門: チェリオの丘の東端に位置し、ローマ時代にはプラエネスティーナ門と呼ばれていました。この門の南側には、カストレンセ円形競技場跡とサンタ・クローチェ・イン・ジェルサレンメ聖堂があります。
アウレリアヌス城壁: マッジョーレ門から丘の南側に沿ってメトロニア門まで続いており、古代ローマの防御システムを今に伝えます。
サント・ステーファノ・ロトンド聖堂: メトロニア門付近から西に向かう丘の部分に位置し、円形の形状が特徴的な美しい教会です。
サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂: チェリオの丘の先端に位置し、その歴史的価値と壮麗な建築は必見です。
チェリモンタナ庭園: 丘の西側に位置し、美しい緑に囲まれた庭園は、散策やリフレッシュに最適です。
クラウディア水道橋の遺構: マッジョーレ門からサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂付近まで、丘の尾根筋に沿って水道橋の遺構が残っています。
カラカラ浴場とアッピア街道: 丘の南側の谷底に位置し、古代ローマの繁栄を偲ばせる重要な遺跡です。
フラウィウス円形闘技場（コロッセオ）とコンスタンティヌスの凱旋門: チェリオの丘の西端、パラティーノの丘との谷間に位置し、古代ローマの代表的な建造物として世界的に有名です。

チェリオの丘は、その歴史的な背景と数多くの見どころによって、ローマの魅力を語る上で欠かせない存在です。古代ローマの息吹を感じながら、丘を散策してみてはいかがでしょうか。

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