チャリング・クロス駅

ロンドン中心部の要衝、チャリング・クロス駅

ロンドンのウエストミンスター地区に位置するチャリング・クロス駅は、ターミナル駅としてロンドン交通の要を担っています。プラットフォームは3面6線と規模はさほど大きくありませんが、発着する列車の本数は多く、常に多くの乗降客で賑わう活気あふれる駅です。列車は出発するとすぐにテムズ川に架かるハンガーフォード橋を渡り、ウォータールー・イースト駅へと向かいます。駅名は、その所在地であるチャリング・クロスに由来しています。ストランド通りに面した駅舎の南側には、イギリス政府の中枢であるホワイトホールが広がっています。

ネットワーク・レールの管理下にある18駅の一つであり、サウスイースタン鉄道が運行を担当しています。

歴史ある駅舎と幾多の変遷

チャリング・クロス駅の歴史は古く、1864年、サウス・イースタン鉄道によってハンガーフォード・マーケットの跡地に最初の駅舎が建設され開業しました。建築家ジョン・ハークショーによる設計で、限られた敷地に6線のプラットフォームを収め、その上部を一枚の錬鉄製の屋根で覆う、当時としては革新的な構造でした。この時代の屋根の美しい曲線は、現在でも駅舎の煉瓦造りの構造物にその名残を見ることができます。

翌年、エドワード・ミドルトン・バリー設計によるチャリング・クロス・ホテルが開業。フレンチ・ルネッサンス様式を呈する華麗なホテルが駅舎に隣接し、駅全体の格調を高めました。この際に、駅正面にはレアノールの十字架のレプリカが建てられました。この十字架は、元々は1291年にホワイトホールに建てられたもので、チャリング・クロスという地名にも繋がる由緒あるものです。1647年に撤去され、後にチャールズ1世像が建てられた場所でもあります。現在、このチャールズ1世像はロンドンの道路元標となっています。

1905年には、大屋根が崩落するという大きな事故が発生しました。幸いにも、補修工事中の作業員が異常を察知し列車の運行を停止したため、犠牲者は6名（作業員2名、売店員1名、通行人3名）にとどまりました。駅は翌年3月に再開業しました。

第二次世界大戦中の空襲で被害を受けた駅舎は、戦後にネオ・ジョージアン様式の白い煉瓦造りの建物として再建されました。その後、1980年代には、プラットフォーム上部にはテリー・ファレル設計のポストモダン様式のオフィスと店舗の複合施設「エンバンクメント・プレイス」が建設されました。現在、この複合施設にはプライスウォーターハウスクーパースなどの企業が入居しています。また、2002年には、イギリスの人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版作品『ベイカー街の亡霊』にも登場しました。

多くの路線が乗り入れる運行状況

チャリング・クロス駅では、オフピーク時でも1時間に18本の列車が出発しています。主な運行路線と行き先は、サウスイースタン鉄道によって運行される以下の通りです。

ダートフォード行き（ベクスリーヒース経由）：2本
グレイブズエンド行き（シドカップ経由）：2本
ジリンガム行き（ルイシャムおよびウーウィッチ・アーセナル経由）：2本
ヘイズ行き：2本
セブンオークス行き（オーピントン経由）：2本
ヘイスティングス行き（タンブリッジ・ウェルズ経由）：2本
ドーバー・プライアリ行き（アシュフォード国際経由）：1本
ラムズゲイト行き（アシュフォード国際およびカンタベリー・ウェスト経由）：1本

地下鉄との接続

チャリング・クロス駅は、ロンドン地下鉄のチャリング・クロス駅とエンバンクメント駅の両駅と接続しています。歴史的には、現在のエンバンクメント駅がかつてチャリング・クロス駅と呼ばれ、現在のチャリング・クロス駅はベーカールー線とノーザン線がそれぞれ別の駅名だった時代がありました。1979年のジュビリー線新駅開業を機に、現在の駅名に統一されました。1999年のウェストミンスター駅方面へのジュビリー線延伸以降、ジュビリー線のプラットフォームは使用されていません。

隣の駅

チャリング・クロス駅は、サウスイースタン本線上、ウォータールー・イースト駅の隣に位置します。

チャリング・クロス駅は、ロンドンの歴史と現代が交差する重要な交通拠点として、これからもその役割を果たし続けるでしょう。

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