チャンギ刑務所

チャンギ刑務所

チャンギ刑務所は、シンガポール東部のチャンギ地区に位置する刑務所です。1936年に英国海峡植民地政府によって民間人向けの監獄として建設されました。しかし、その歴史は第二次世界大戦中に大きく転換します。

1942年2月、日本軍がシンガポールを占領すると、チャンギ刑務所は収容能力を大幅に超える規模で利用されることになります。約600人収容の刑務所に、約3000人の民間人が収容されました。さらに、刑務所近隣のセララン兵舎は、イギリス人やオーストラリア人を中心とする連合軍捕虜約50,000人を収容する捕虜収容所として使われました。この時期、「チャンギ」という言葉はイギリスやオーストラリアでは刑務所を意味する言葉として使われるほど、その存在は広く知られることとなりました。

日本軍による占領下では、約850人の捕虜がチャンギで死亡しました。収容者全体の27%という割合は、日本の他の捕虜収容所と比較すると低い死亡率でしたが、多くがシンガポール国外の強制収容所に移送された後や、泰緬鉄道建設などの過酷な労働、サンダカン死の行進などにより命を落としました。

1944年には、収容されていたオーストラリア人捕虜たちが刑務所内にチャペルを建設しました。これは、過酷な状況下でも信仰を保ち、希望を失わなかった人々の象徴として、現在もその姿を留めています。

近年では、1995年にベアリングス銀行のシンガポール支店で巨額の損失を出したニック・リーソンが、逃亡後に身柄を拘束され、チャンギ刑務所に収監された事件も発生しました。彼は1998年に既に出所していますが、この事件はチャンギ刑務所の現代における歴史にも名を刻んでいます。

関連項目

チャンギ博物館

外部リンク

チャンギ刑務所のホームページ

チャンギ刑務所は、単なる刑務所というだけでなく、歴史の証人として、また人々の記憶を伝える場所として、その存在は重要です。戦争の悲劇、人間の強さ、そして現代社会の出来事、さまざまな物語がこの場所には刻まれています。

もう一度検索