チャンシッター

チャンシッターの生涯

チャンシッター（ビルマ語: ကျန်စစ်သား、1030年7月21日 - 1113年）は、パガン王朝の第3代国王であり、在位期間は1084年から1113年までの約29年間です。彼は、パガンに最盛期をもたらした王として評価されています。日本語ではチャンジッタとも書かれ、彼の名前は「探索から生き延びた者」を意味するものと考えられています。

出自

チャンシッターは、パガン王アノーヤターの子かその家臣として知られています。しかし、彼の出自についてはさまざまな研究者から異論が寄せられています。王統史に記されている情報によると、アノーヤターに献上されたインドの女性がチャンシッターを身ごもったとされていますが、出自の確実性には疑問が残ります。研究者の大野徹は、彼がアノーヤターの血を引いていないことを示唆する多くの証拠を挙げています。また、G.E.ハーヴェイはチャンシッター像がインド的な特徴を持つことから、彼がインド系である可能性も指摘しています。

生涯

即位前

チャンシッターはアノーヤターのもとで多くの遠征に参加し、特にモン王国への遠征では英雄的な役割を果たしました。モン族が治めるペグーにクメール軍が侵入した際、アノーヤターはチャンシッターを送ります。チャンシッターはインド出身の兵士とともに侵入者を撃退しました。この功績により、ペグーからアノーヤターの妃となる王女キン・ウが護送されることになりますが、チャンシッターは彼女に恋に落ち、アノーヤターの知るところになり王宮を追放されました。その後、彼はチャウンビューで隠遁生活を送り、地元の女性ダムプラとの関係を持つことになりました。後に、ソウルーが即位した後、再び宮廷に呼ばれましたが、再度キン・ウと関係を持ったため、再度左遷されることになります。しかし、モン族の反乱を鎮圧する過程でソウルーが戦死し、チャンシッターは王として擁立されました。

即位後

即位後のチャンシッターは、治世において灌漑事業やビルマ族とモン族の融和政策を積極的に推進しました。彼の治世で残された碑文はすべてモン語で書かれており、他の王の治世でモン語が使われていないことから、大野徹は彼がモン族の血を引いている可能性を指摘しています。彼はまた、ナガヨン寺院やアベーヤダナー寺院など多くの建築事業を手がけ、特にアーナンダ寺院は大きさと均衡の美しさから高く評価されています。この寺院は、インドから訪れた僧侶の影響を受けた設計がされており、内部にはインドから招聘された画家の壁画が描かれています。

チャンシッターにはシュウェ・エインティという娘がいましたが、彼女は外国の王子に求婚されるも、廷臣たちによってパガンの王子ソウユンと結婚させられます。チャンシッターはソウユンとシュウェ・エインティの間に生まれた男子アラウンシードゥーを後継者に指名しました。また、亡妻ダムプラとの間にできた私生児ヤーザクマーにも王子の称号を与えました。

チャンシッターの死の直前、ヤーザクマーは彼の事績を記した碑文を寺院に奉納します。この碑文は、ビルマ語、パーリ語、モン語、ピュー語の4つの言語で記され、歴史的にも重要な資料となっています。後の研究者によって、特に未解読だったピュー文字が解読される手助けとなりました。

宗室と子

• - シュウェ・エインティ: 娘。アラウンシードゥーの母。
• - ヤーザクマー: 妾腹の子。

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