チョロギ

チョロギとは

チョロギ（丁呂木・草石蚕・長老木、学名: Stachys sieboldii）は、シソ科の多年草で、食用とされる特徴的な塊茎を持つ植物です。別名チョウロギとも呼ばれます。中国が原産で、日本には江戸時代に伝わりました。お正月のおせち料理によく使われる縁起物としても知られています。

名称の由来

和名「チョロギ」の語源には諸説あります。中国語の「朝露葱（ちょうろぎ）」が転じたという説や、朝鮮語でミミズを意味する言葉に由来するという説があり、いずれも塊茎の形状から連想されたと考えられています。

漢字表記も多様で、塊茎の形が石蚕（トビケラ類の幼虫）に似ていることから「草石蚕」と書かれたり、音から「丁呂木」「丁梠木」と表記されることもあります。また、縁起を担いで「長老木」など長寿を意味する漢字が当てられることもあります。

その他、その形状からネジリイモ、ホラガイイモなどと呼ばれることもあります。また、甘露子、宝塔菜という別名もあります。

中国名は「甘露子」、英語では「Chinese artichoke」または「chorogi」、フランス語では「crosne du japon」と呼ばれています。

来歴

チョロギは中国の華南または華北が原産とされ、中国では古くから栽培されていました。8世紀の医方書に「草石蚕」として記録されていますが、これは別種を指すという説もあります。明代の本草書には「甘露子」として記述されており、これがチョロギであるとする説もあります。

日本では、江戸時代の文献に初めてその名が登場し、その後農書にも記載されるようになりました。当初はあまり普及していませんでしたが、明治期に入ると根菜として栽培が広まりました。現在では、大分県竹田市や福島県二本松市などで栽培が盛んです。ヨーロッパやアメリカにも伝わり、栽培されています。

特徴

チョロギはシソ科の宿根草で、茎は直立して30～60cmほどに成長します。茎の断面は四角形で、葉は楕円形で毛が生えています。夏には淡紫紅色の花を咲かせます。地下茎の先にできる塊茎は、長さ1～3cm程度の巻貝のような形をしており、節があります。収穫は11～12月頃に行われ、食用とされます。

栽培

チョロギは日当たりの良い場所で、株間を十分にとって栽培します。土質はあまり選びませんが、有機質に富んだ土壌が適しています。春に種芋となる塊茎を植え付け、晩秋に収穫します。栽培は容易ですが、一度栽培すると野生化しやすい性質があります。肥料はそれほど多く必要としませんが、栽培期間が長いため、効果が大きいとも言われています。

畑には堆肥を混ぜて耕し、畝を作ります。株間は50cm程度とし、春に種芋を植え付けます。発芽後は、しばらく除草をせず、生育状況を見て追肥を行います。茎葉が茂ると倒伏しやすくなるため、支柱を立てて誘引することが推奨されます。塊茎は地下3～6cmにできるため、定期的に土寄せと追肥を行い、地下茎の肥大を促します。収穫は葉が枯れるのを待ってから行います。

利用

チョロギは、おせち料理の黒豆に添えられる梅酢漬けが一般的です。これは縁起物としての意味合いがあります。また、救荒植物としても利用されてきました。

味は淡泊でクセがなく、サクサクとした歯触りが特徴です。梅酢漬けはユリ根に似た食感で、ピリッとした辛味があります。茹でたり天ぷらにすると、ホクホクとした食感になります。

塊茎は、塩漬けや梅酢漬け、茹でるなどして食べられます。長期保存も可能で、市販もされています。日本では、お節料理の他に、煮物や天ぷら、吸い物の具としても利用されます。西日本では、焼いたものが箸休めとして用いられることがあります。

海外では、フランスでクリーム煮やサラダに、アメリカではジャガイモのように煮たり、フライにしたりして食べられています。フランス料理では、付け合せに添えられることが多いです。

栄養価と効果

チョロギの塊茎には、スタキオースというオリゴ糖が豊富に含まれています。スタキオースは消化の良い四糖類で、腸内細菌の餌となるため、整腸作用が期待できます。また、塊茎や全草を乾燥させたものは、強壮作用や鎮咳作用があると言われています。漢方では、身体を温め、血の滞りを改善し、精神を安定させる効果があるとされています。

注意点

稀に、チョロギは魚との相性が悪いと言われることがあります。また、体を冷やす作用があるとも言われています。

もう一度検索