ツィター属

ツィター属についての詳細

ツィター属（ツィターぞく）は、主にヨーロッパにおいて分類された弦楽器の一群を指します。この名称の起源は、ヨーロッパのチロル地方に存在する撥弦楽器「ツィター」に由来していますが、その起源は遥か古いペルシャの楽器「ダルシマー」にさかのぼることができます。また、アジアにも多くの類似した楽器が存在し、多様な文化で用いられています。ツィター属は、時には琴属とも呼ばれ、幅広い楽器を包括する説明がなされます。

ツィター属の定義

ツィター属は、楽器分類学におけるザックス＝ホルンボステル分類とは異なり、厳密な定義を持ちません。その結果、ツィターと類似した形状や演奏法を持った楽器だけでなく、時にはビリンバウなどの弓を使用する楽器まで含まれる解釈が存在するのです。また、一般的には共鳴体に弦が平行に張られ、その上にネックがない楽器の総称として理解されています。

このため、ツィター属には、比較的大型の箱型共鳴胴を特徴とし、多数の弦を持つ楽器が多く、撥弦または打弦によって演奏されるものが中心となっています。例えば、ツィターやカーヌーンは明らかにツィター属に含まれますが、鍵盤楽器であるチェンバロや打弦楽器のダルシマーの扱いは一部議論の余地があります。

ツィター属に含まれる楽器

ヨーロッパの撥弦楽器

• - ツィター: ツィターはツィター属の代表格で、プレクトラムを用いて弦を弾く楽器です。
• - チェンバロ: 理論的にはツィターと似た仕組みを持ちますが、プレクトラムを鍵盤で操作するため、一般的には別物と見なされます。
• - オートハープ（アメリカ）: 形状は異なりますが、撥弦の方法はツィターに似ています。
• - カンテレ（フィンランド）: 撥弦楽器の一種で、独特の音色を持っています。
• - ランゲレイク（ノルウェー）: ツィター属の一形態として、その地域の文化に適応した楽器です。

ヨーロッパの打弦楽器

• - ピアノ: 鍵盤楽器ですが、打弦によって音を出すため、時にツィター属とみなされることがあります。
• - ツィンバロム（ハンガリー）: 主に弦を叩くことで音を出す打弦楽器です。
• - ダルシマー（イギリス）: 形状はツィターに似ますが、弦を叩くことで音を出すため、少し異なる扱いを受けることもあります。
• - ハックブレット（ドイツ）: 同様の原理を用いる打弦楽器です。

アジアの撥弦楽器

• - 琴: 古代中国を起源とし、美しい音色を奏でる楽器です。
• - 箏: 日本の伝統的な楽器で、繊細な演奏が特徴です。
• - チャケー: アジア各地でみられる楽器の一つです。
• - カーヌーン（トルコ、イラン、ギリシャ、アラビア諸国）: これも撥弦楽器の一種で人気があります。

アジアの打弦楽器

• - 揚琴: 中華圏でよく知られた打弦楽器で、二つの音叉に似た精妙な音色を放ちます。
• - サントゥール（イラン）: 特殊な形状を持ち、木槌で弦を叩くことで旋律を生み出します。
• - キム（タイ）: アジアにおける多様な打弦楽器の一つです。

まとめ

ツィター属は、見た目の類似性や演奏法の相違により、多くの楽器を包括する広範な概念です。しかし、その根源には同じような音楽的伝統や文化が関わっており、それぞれの地域で独自の発展を遂げてきました。楽器の特徴や演奏方法は多様であり、今なお新たな解釈や発見が待たれています。

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