ツインターボ (競走馬)

ツインターボ：ターフの指名手配犯、最後の個性派

1988年4月13日生まれのツインターボは、日本の競馬史にその名を刻んだ個性的な競走馬です。その戦績は、圧勝と惨敗の両極端を突き進む、まさにジェットコースターのようなものでした。常に後続を大きく引き離す大逃げ戦法を得意とし、勝つ時は圧勝、負ける時はあっけなく失速する、その極端なレース運びは多くのファンを魅了し、「ターフの指名手配犯」という異名で親しまれました。中央競馬においては、「最後の個性派」とも称えられています。

駆け出しの頃

北海道静内町の福岡牧場で生まれたツインターボは、幼少期から強いバネを備えていましたが、小柄で食が細い体格でした。日高ケンタッキーファームでの育成を経て、1990年春に美浦トレーニングセンターの笹倉武久厩舎に入厩。馬房では大人しい性格でしたが、騎乗されると反抗的な面を見せ、ゲート試験の合格に4ヶ月を要するなど、デビューは1991年までずれ込みました。

デビューと重賞初制覇

1991年3月2日、中山競馬場の新馬戦でデビューしたツインターボ。笹倉調教師から「好きなように走らせろ。ハナ（先頭）に立て」との指示を受けた石塚信広騎手は、スタートから逃げ切り、2着に3馬身差をつける圧勝でデビューを飾りました。続くもくれん賞も逃げ切って連勝し、東京優駿（日本ダービー）への道が開けました。しかし、青葉賞では9着と初敗戦を喫し、続く駒草賞でも5着と振るいませんでした。それでも、重賞初挑戦となったラジオたんぱ賞では、再び逃げ切りで勝利。笹倉調教師にとって初めてのサラブレッド系重賞制覇となりました。

飛躍と挫折

秋シーズンはセントライト記念で2着と好走し、続く福島記念でも2着と連続で好成績を残しました。しかし、有馬記念では14着と大敗、競走後に鼻出血が判明し、長期休養を余儀なくされました。復帰後は思うように走れず、重賞3連敗を喫しました。

転機は1993年の七夕賞でした。スタートの遅さを克服するため、逃げのスペシャリストである中舘英二騎手が鞍上に起用されました。中舘騎手は前半1000メートルを57秒4というハイペースで逃げ切り、2着に4馬身差をつける圧勝。約2年ぶりの勝利は、福島競馬場の入場人員記録となる47391人の観客を沸かせました。

続くオールカマーでも、ハイペースの逃げで2着に5馬身差をつける圧勝。天皇賞（秋）では、大逃げを警戒されたライバルのマークに遭い、17着と大敗を喫しましたが、その潔い「負けっぷり」は、多くのファンの共感を呼びました。しかし、その後は、大逃げが通用せず、勝利することはありませんでした。

引退とその後

1995年には上山競馬へ転厩しましたが、その後は低迷が続き、1996年のクラスターカップを最後に引退。翌年には種牡馬となりましたが、1世代5頭の産駒を残したのみで、1998年1月15日、心不全のため死去しました。

逃げ馬としての評価

ツインターボは「大逃げ」の代名詞的存在として、競馬ファンの記憶に深く刻まれています。「優駿」誌の企画「個性派ホースベスト10」では、サイレンススズカに次ぐ2位に選ばれ、その人気と存在感を示しました。その潔いレースぶりは、競馬評論家や漫画家からも高い評価を受けています。

ツインターボは、GI競走を制覇することはありませんでしたが、その圧倒的な個性と、勝利と敗北の両極端を突き進む姿は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続けました。まさに「最後の個性派」として、競馬史にその名を刻む、伝説的な競走馬と言えるでしょう。

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