ツバメオモト

ツバメオモト（燕万年青）

特徴

ツバメオモト（学名：Clintonia udensis）は、ユリ科ツバメオモト属に分類される多年草です。その特徴は、まず根元から生える数枚の葉に見られます。葉は倒卵状長楕円形で、長さ15～30cm、幅3～9cm程度。柔らかくやや厚みがあり、縁には若い頃に軟毛が見られます。

花期は5～7月で、花茎の先端に総状花序をつけます。花序の基部には包がありますが、開花時には脱落します。花は白色で、開花時にはやや下向きに咲き、花被片は6枚で長さ10～15mm、ほぼ平らに開きます。花後、花茎は40～70cmに伸び、個々の花柄も3～6cmに伸長します。液果は直径約1cmの球形で、瑠璃色から熟すと藍黒色に変化します。

和名の由来は諸説あります。葉がオモトに似ていること、葉が開く様子が刀の鍔に見えること、果実の色がツバメの頭に似ていることなどが挙げられます。また、葉にはフラボノイド、果皮にはアントシアニンが含まれています。

分布

ツバメオモトは、東北アジアと日本の北海道から奈良県以北の本州の山地帯上部から亜高山帯の林内に分布しています。日本では、鳥取県では氷ノ山のみに分布しています。また、田中澄江の著書『新・花の百名山』では、奥秩父山塊の飛龍山を代表する花として紹介されています。基準標本はシベリアのオホーツク海沿岸で採取されたもので、学名udensisはロシアのウダ川に由来します。

保全状況

日本では、複数の都道府県でレッドリストに指定されており、地域によって絶滅の危機に瀕しています。

絶滅寸前種: 奈良県
絶滅危惧I類: 鳥取県（氷ノ山のみに分布）
ランクA（環境省の絶滅危惧I類相当）: 兵庫県
準絶滅危惧: 埼玉県（秩父地方の亜高山帯に分布し、シカの食害による減少が懸念）

また、環境省により上信越高原国立公園、中部山岳国立公園、南アルプス国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園などで自然公園指定植物に指定され、一般の採集は禁じられています。

種内変異

以下の2品種が報告されていますが、一般的な図鑑ではあまり取り上げられていません。

ヘラバツバメオモト（C. udensis f. lanceolata）
シロミノツバメオモト（C. udensis f. leucocarpa）

その他

ツバメオモトは、その美しい姿から山野草として園芸用に苗が販売されています。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本I 単子葉植物』,(1982),平凡社。p.47-48.
北村四郎・村田源・小山鐵夫『原色日本植物図鑑 草本編(III)・単子葉類（改定49刷）』,(1987),：保育社。p.106

関連項目

ユリ科
新・花の百名山 - 飛龍山

外部リンク

* 千葉大学提供'>ツバメオモトの標本画像

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