ティム・ラヘイ

ティモシー・ラヘイ：信仰と文学、そして政治活動

ティモシー・フランシス・ラヘイ（1926年4月27日 - 2016年7月25日）は、アメリカ合衆国のプロテスタントの牧師であり、作家として多岐にわたる活動を行いました。特に、終末論をテーマにした小説『レフトビハインド』シリーズの作者として、世界中で広く知られています。

生い立ちと信仰

ラヘイは1926年、ミシガン州デトロイトで生まれました。幼少期に父親を亡くしたことが、彼の信仰に大きな影響を与えました。葬儀での牧師の言葉が、彼に希望を与えたと述懐しています。18歳でアメリカ陸軍航空軍に入隊し、第二次世界大戦に従軍。戦後、ボブ・ジョーンズ大学で学び、さらにウエスタン神学校とリバティ大学大学院で学位を取得しました。牧師として、サウスカロライナ州やミネアポリスで教会を牧会した後、カリフォルニア州サンディエゴのスコット・メモリアル・バプテスト教会（現グレース・チャーチ・サンディエゴ）で25年間牧師を務めました。この教会を大規模な教会へと成長させただけでなく、クリスチャン・ヘリテッジ・カレッジ（現サンディエゴ・クリスチャン・カレッジ）や創造科学研究所の設立にも貢献しました。

政治活動

ラヘイは、自身の信念を社会に反映させるため、積極的に政治活動にも関わりました。1970年代後半から1980年代初期にかけて、クリスチャン・ボイスを通じて政治に関与し、ジェリー・ファルエルを支援してモラル・マジョリティを設立させ、自らも理事として参加しました。また、妻のビバリーは宗教右派の女性団体コンサーンド・ウィメン・フォー・アメリカを設立しました。1981年に牧師の職を辞任し、政治と執筆に専念。同年には政策立案シンクタンク、カウンシル・フォー・ナショナル・ポリシー（CNP）の設立を支援しました。

しかし、統一教会（現：世界平和統一家庭連合）との関係については、福音派から批判を受けました。統一教会の幹部からの金銭受領や、文鮮明の収監に反対する団体への参加などが問題視されました。

一方で、ロナルド・レーガンの大統領選を支援したり、2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュの支持を取り付けるなど、宗教右派の政治的影響力を高める上で重要な役割を果たしました。

『レフトビハインド』シリーズ

ラヘイの名前を最も有名にしたのは、ジェリー・ジェンキンスとの共著による『レフトビハインド』シリーズです。このシリーズは、患難前携挙説に基づき、キリスト教徒が携挙された後の世界を描いています。1995年に第1巻が発売され、全12巻が刊行されました。シリーズは世界中で大ヒットし、2016年7月時点で6,500万部を売り上げました。複数の作品がニューヨーク・タイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにランクインしました。

ジェリー・ファルエルは第1巻を「現代キリスト教に非常に大きな影響を与えた。現代においては聖書の次に偉大な本だ」と絶賛しました。

ラヘイは、飛行機内で不倫を目撃したことがきっかけで、この物語の着想を得たと語っています。彼は映画化された『レフトビハインド』が、自身の望むキリスト教的価値観を反映したものにならなかったことを後悔したと述べています。

著書（邦訳）

『人間の気質と聖霊の働き』（1972年、いのちのことば社）
『ひとりでできる聖書の学び』（1979年、いのちのことば社）
『ひとりでできる聖書の学び 初めて聖書を読む若い人々に』（1994年、いのちのことば社）
『結婚生活の諸問題』（いのちのことば社）
『死後、何が起こるか』（いのちのことば社）
『御霊に支配された家庭生活』
『レフトビハインド』シリーズ（ジェリー・ジェンキンズとの共著、いのちのことば社）
『バビロン・ライジング ノアの箱舟の秘密』（2005年、扶桑社、ボブ・フィリップスとの共著）
* 『バビロン・ライジング 秘宝・青銅の蛇を探せ』（2005年、扶桑社、グレッグ・ディナロとの共著）

ティモシー・ラヘイは、牧師、作家、政治活動家として、アメリカ社会に大きな影響を与えた人物です。彼の著作や活動は、現代のキリスト教、特に福音派の動向を理解する上で重要な手がかりとなります。

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