ティーガーデン星b

ティーガーデン星b

ティーガーデン星bは、太陽系から約12光年離れた位置にある赤色矮星、ティーガーデン星のハビタブルゾーン内を公転する太陽系外惑星です。ティーガーデン星系には他にもティーガーデン星cという惑星が存在し、これらを含め、2020年4月の時点で潜在的に居住可能な太陽系外惑星としては、地球から4番目に近い天体として知られています。

発見

ティーガーデン星bは、2019年7月にMathias Zechmeister率いる国際的な科学者チームによって発見されました。この発見は、CARMENES観測プロジェクトの一環として行われ、ドップラー分光法（視線速度法）を用いてティーガーデン星のわずかなふらつきを検出することで、その存在が明らかになりました。

ドップラー分光法は、惑星が恒星に及ぼす重力的な影響を、恒星の視線速度の変化として観測する手法です。惑星が恒星の周りを公転すると、恒星は惑星の重力によってわずかに揺れ動きます。この揺れは、地球から見たときに恒星が近づいたり遠ざかったりする速度の変化、つまりドップラーシフトとして観測されます。

観測には、スペインのカラル・アルト天文台にある3.5メートル望遠鏡に搭載されたCARMENESという高精度分光器が用いられました。3年間にわたる観測の結果、4.91日と11.41日の周期を持つ2つの視線速度信号が検出され、それぞれティーガーデン星bとティーガーデン星cに対応することが判明しました。

特徴

ティーガーデン星bは、ティーガーデン星系の内側を公転する惑星で、その公転周期はわずか4.91日です。この惑星の最小質量は地球の1.05倍と見積もられており、観測された軌道が地球から見て傾いていない場合は、この値が真の質量となります。この質量から、ティーガーデン星bは地球型惑星であり、表面に液体の水が存在する可能性があると考えられています。

居住性

ティーガーデン星bは、ハビタブルゾーンの中でも楽観的な範囲に位置しています。これは、大気の組成によっては、惑星表面に液体の水が安定的に存在できる可能性があることを示唆しています。液体の水は、生命が存在するために不可欠な要素と考えられているため、ティーガーデン星bは生命が存在しうる可能性を秘めた天体として注目されています。

ティーガーデン星bの居住性を高めるもう一つの要因は、その主星であるティーガーデン星が比較的穏やかな赤色矮星であることです。多くの赤色矮星は強力なフレアを頻繁に放出しますが、ティーガーデン星はそうした活動が少ないため、惑星の大気が剥ぎ取られるリスクが低いとされています。フレア活動が活発な恒星を周回する惑星の例としては、ケプラー438bやプロキシマ・ケンタウリbなどがあります。これらの惑星は、主星のフレアによって大気が失われ、居住に適さない環境になっていると考えられています。

ティーガーデン星のような穏やかな赤色矮星を周回する惑星として、ルイテン星の周囲を公転するルイテンbも挙げられます。これらの惑星は、生命の存在可能性を検討する上で非常に重要な対象となります。

まとめ

ティーガーデン星bは、地球に近い距離にあり、質量も地球に近いことから、今後の詳細な観測によってその居住可能性がさらに明らかになることが期待されています。ティーガーデン星系は、太陽系外生命探査において重要なターゲットの一つであり、今後の研究によって、私たちの宇宙に対する理解を深める上で重要な役割を果たすでしょう。

関連項目

地球に近い太陽系外惑星の一覧
2019年に発見された太陽系外惑星の一覧

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