ルイテン星

ルイテン星 (Luyten's Star / GJ 273)

ルイテン星は、こいぬ座の方向に約12.4光年離れた位置にある赤色矮星です。見かけの等級は約9.9等級と非常に暗く、肉眼で観測することはできません。この星の名前は、1935年に共同研究者とともに固有運動を測定した天文学者ウィレム・ヤコブ・ルイテンに由来します。

特徴

ルイテン星は、太陽の約3割の質量と半径を持つ小型の恒星です。スペクトル分類はM3.5V型で、これは中心核で水素の核融合反応を起こしている主系列星であることを意味します。自転速度は非常に遅く、1 km/s以下と予測されており、約116日かけて自転していると考えられています。表面温度は約3,380 Kと比較的低温で、赤橙色の光を放っています。過去の測定では3,150 ± 100 Kや3,970 Kという値も報告されています。

ルイテン星は現在、太陽系から遠ざかっていますが、約13,000年前には11.96光年まで接近していました。最も近い恒星はプロキオンで、1.124光年離れています。もしルイテン星を公転する惑星から夜空を眺めた場合、プロキオンは-4.5等級の明るさに見えるでしょう。両者は約600年前には1.118光年まで接近していました。ルイテン星の空間速度成分は、U = +16 km/s、V = -66 km/s、W = -17 km/s前後です。

惑星系

ルイテン星には、複数の惑星が確認されています。

ルイテンb (GJ 273 b): ハビタブルゾーン内を公転するスーパーアースで、下限質量は地球の2.89倍です。約18.65日で公転しており、水と大気が存在すれば居住可能である可能性が指摘されています。表面の平衡温度は206～293 K（-67～20 ℃）の範囲内と推定されています。
ルイテンc (GJ 273 c): ドップラー分光法で発見された最も質量の小さい惑星の一つで、下限質量は地球の1.18倍です。ルイテン星に非常に近い軌道を約4.72日で公転しています。

ルイテンbは、現在知られている太陽系外惑星の中で、プロキシマ・ケンタウリbに次いで2番目に近いハビタブル惑星とされています。

2019年には、さらに2つの惑星候補、ルイテンd (GJ 273 d)とルイテンe (GJ 273 e)が発見され、ルイテン星の周りには合計4つの惑星が存在することが確認されています。

SETIプロジェクト

2017年10月には、アクティブSETI（METI）と音楽祭「Sónar」による「Sónar Calling GJ 273b」プロジェクトで、ルイテン星に向けて無線信号が送信されました。この信号には、メッセージを解読するための科学的・数学的なチュートリアルと、様々な音楽家が演奏した33曲の音楽がエンコードされていました。2018年にも2回目の信号が送信され、これらの信号は2030年3月11日にルイテン星に到達する予定です。

その他

ルイテン星は、その特徴的な赤色光や惑星の存在から、宇宙生物学の研究対象として注目されています。今後の観測によって、さらに多くの情報が得られることが期待されています。

関連情報

近い恒星の一覧
バーナード星
ティーガーデン星
カプタイン星

外部リンク

* SolStation.com: Luyten's Star

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