テレグラフ (レコードレーベル)

テレグラフ・レコード：日本のインディーズ音楽シーンを支えた伝説のレーベル

テレグラフ・レコードは、1981年に写真家の地引雄一によって設立された日本のインディーズレーベルです。正式名称は「テレグラフ・レコード」、運営会社は「有限会社テレグラフファクトリー」。

設立の背景と東京ロッカーズとの関わり

地引雄一は、日本写真学園を卒業後、東京のライブハウスを中心に巻き起こったパンク・ロックのムーブメント「東京ロッカーズ」に深く関わりました。紅蜥蜴（LIZARD）のリーダー、モモヨとの出会いをきっかけに、カメラマンとしてステージ写真を撮影する傍ら、イベンターやマネージャーとしても活動。日本のパンク・ロック黎明期からその発展を支えました。

1980年には、ミニコミ『チェンジ2000』を発行していた小嶋さちほ（ZELDAのリーダー）らと共に、インディーズレーベル「ジャンク・コネクション」を設立しますが、短期間で活動を休止。翌1981年に、地引は自身のレーベル「テレグラフ・レコード」を立ち上げ、新たなスタートを切りました。

多様な音楽性とサブレーベル「ヴェクセルバルク」

テレグラフ・レコードは、パンクやロックに限らず、テクノ、アコースティック、実験音楽など、ジャンルにとらわれない多様なアーティストをリリースしました。1984年には、サブレーベル「ヴェクセルバルク」を設立し、AUTO-MODのGENETと共にポジティブ・パンク専門のレーベルとして、AUTO-MOD、SADIE SADS、NUBILEなどの作品を発表。「ポジパン系」と呼ばれる耽美的なパンクは、当時のパンクシーンを二分するほどのブームとなり、後のヴィジュアル系へと繋がる流れを作りました。

東京から関西へ、そして全国へ

地引は、東京周辺のアーティストにとどまらず、関西インディーズシーンで活躍していたアーント・サリー（Phew）、EP-4（佐藤薫、川島バナナ）、4-Dなどとも交流を持ち、イベントへの出演や作品のリリースを行いました。また、イベントには地方のインディーズバンドも多数出演し、全国的なインディーズシーンの活性化に貢献しました。

書籍『ストリート・キングダム』と雑誌『EATER』

1986年には、日本のパンク・ロックとインディーズの記録をまとめた書籍『ストリート・キングダム』を刊行。豊富な写真と臨場感あふれる文章で、当時の熱気を伝えました。2008年には、映像を収録したDVDを追加した「完全版」が再刊されています。また、1995年には音楽とサブカルチャーの雑誌『EATER』を創刊し、2000年代以降はウェブサイト「EATER online」へと移行し、情報発信を続けています。

他レーベルとの交流

テレグラフ・レコードは、東京ロッカーズの中心人物であったヒゴヒロシの「ゴジラ・レコード」「ジープ・レコード」や、『DOLL』編集長の森脇美貴夫が設立した「シティ・ロッカー・レコード」、ライブハウス「吉祥寺マイナー」の店主だった佐藤隆史の「ピナコテカレコード」など、他のインディーズレーベルとも交流を持ち、日本のインディーズシーンを盛り上げました。

イベントの開催

東京ロッカーズの拠点であった新宿LOFTを中心に、数々のイベントを開催。「DRIVE TO 80's」から始まり、「CASE OF TELEGRAPH/ PRODUCTS 5」、「DRIVE TO 2000」、「DRIVE TO 2010」、「DRIVE TO 2100」など、時代を反映したイベントを企画し、多くのアーティストが出演しました。

主な所属アーティスト

4-D
AUTO-MOD
E.D.P.S
EP-4
LIZARD
NON BAND
あけぼの印
アマリリス
カトゥラ・トゥラーナ
チャンス・オペレーション
パブロ・ピカソ
山口冨士夫

テレグラフ・レコードは、日本のインディーズ音楽シーンの黎明期から現在に至るまで、その独自の活動を続けています。

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