ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ

ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ

『ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ』（Concerto for Group and Orchestra）は、1969年9月24日にロイヤル・アルバート・ホールで行われた、ディープ・パープルとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の共演を収録したライブ・アルバムです。同年12月に発表され、ロックとオーケストラの融合という革新的な試みとして、音楽史にその名を刻みました。このアルバムは、イアン・ギランとロジャー・グローヴァーを迎えた第2期ディープ・パープルの最初のアルバムであり、バンドにとって初のライブ・アルバムでもあります。

制作の経緯

第2期ディープ・パープルは、1969年7月に最初のステージを踏み、その後シングル「ハレルヤ」を発表。国内でのライブ活動と並行して、リッチー・ブラックモアを中心に新曲の制作を開始しました。同時期、第1期ディープ・パープルのマネージメントは、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演を企画し、ロイヤル・アルバート・ホールの使用契約を締結。ジョン・ロードに共演用の新曲の準備を促しました。

ロードは多忙なスケジュールの合間を縫って「グループとオーケストラのための協奏曲」の作曲に没頭。広報担当のベン・ニスベットは、作曲家のマルコム・アーノルドに協力を要請し、アーノルドはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の指揮を引き受け、ロードの作曲をサポートしました。

1969年9月24日、ディープ・パープルとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団はロイヤル・アルバート・ホールで共演し、史上初のロックバンドとオーケストラの合同コンサートを実現させました。コンサートは3部構成で行われ、第1部ではアーノルド指揮によるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団がアーノルド作曲の「交響曲第六番」を、第2部ではディープ・パープルが「ハッシュ」「リング・ザット・ネック」「チャイルド・イン・タイム」を、そして第3部では両者が「グループとオーケストラのための協奏曲」を演奏しました。アンコールでは、「グループとオーケストラのための協奏曲」の第三楽章の一部が再演され、その模様はBBCによってテレビ放映されました。

楽曲について

「グループとオーケストラのための協奏曲」は、合奏協奏曲、協奏交響曲、管弦楽のための協奏曲の特徴を組み合わせた作品であり、レコードの内ジャケットにはロード自身による解説が掲載されています。第一楽章では、ディープ・パープルとオーケストラがリッチー・ブラックモアのギターカデンツァを中心に拮抗する様子が描かれ、第二楽章ではイアン・ギランのボーカルソロとジョン・ロードのオルガンソロがオーケストラと絡み合い、混沌とした共存の雰囲気を醸し出します。そして、第三楽章ではイアン・ペイスのドラムソロを挟み、両者が協調していく様が表現されています。

アルバムは、アメリカでは1969年12月にテトラグラマトン・レコードから、イギリスでは1970年1月にハーヴェスト・レコードから発表されました。その後、テトラグラマトン・レコードの倒産に伴い、ワーナー・ブラザーズ・レコードから再発されています。2002年には、コンサート第二部でディープ・パープルが演奏した「ハッシュ」「リング・ザット・ネック」「チャイルド・イン・タイム」がCDに追加収録されました。

映像作品

コンサートの模様は映像ソフト化され、アルバムと同名で発売されました。2003年にリリースされたDVDは、2001年6月にアビー・ロード・スタジオでJonathan Allenによってミックスされ、2002年3月にPeter Mewによってデジタル・リマスタリングされています。

その後

ディープ・パープルは、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演後も、精力的に活動を続けました。しかし、1970年にアルバム『ディープ・パープル・イン・ロック』を発表し、ハードロックバンドとしての地位を確立してからは、長らく本作を顧みることはありませんでした。しかし、1999年には、本作発表30周年を記念して、ロイヤル・アルバート・ホールでロンドン交響楽団と再演。その後も、各地のオーケストラとの共演を重ね、2001年にディープ・パープルを脱退したジョン・ロードも、2011年に初のスタジオ録音版の制作に参加しました。

本作は、ロックとオーケストラの融合という、当時としては画期的な試みであり、その後の音楽シーンに大きな影響を与えました。

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