ディー・ブラウン (野球)

ディー・ブラウン

ダーマル・ブラム・ブラウン、愛称「ディー・ブラウン」は、1978年3月27日にアメリカ合衆国ニューヨーク州ブロンクスで生まれた元プロ野球選手（外野手）です。メジャーリーグベースボール（MLB）でのプレー経験を経て、日本のプロ野球（NPB）、埼玉西武ライオンズでも活躍しました。

経歴

ブラウン選手のキャリアは、1996年にカンザスシティ・ロイヤルズからドラフト会議の1巡目（全体14位）で指名されたことに始まります。プロ入り後、1998年から2004年までの7シーズンにわたり、ロイヤルズの一員としてMLBの舞台でプレーしました。その後、2005年と2006年はマイナーリーグでのプレーが中心となります。

2006年オフにはアリゾナ・ダイヤモンドバックスと春季キャンプへの招待選手として契約を結び、傘下の3Aチームであるツーソン・サイドワインダーズでプレー。翌2007年のシーズン途中には、金銭トレードによってオークランド・アスレチックスへ移籍しました。

さらに、2008年にはロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム、2009年にはロサンゼルス・ドジャースとそれぞれマイナー契約を締結し、メジャー復帰を目指しましたが叶いませんでした。

同年12月28日、日本の埼玉西武ライオンズへの入団が発表され、NPBでの新たな挑戦を始めることになります。

埼玉西武ライオンズ時代

日本での1年目となった2010年シーズン、ブラウン選手は中心選手として期待されました。4月4日の北海道日本ハムファイターズ戦では、記念すべき日本プロ野球公式戦通算90,000号となる本塁打を放つなど、印象的なプレーを見せました。最終的に、打率.241ながら、21本塁打、76打点というまずまずの成績を残します。特にセ・パ交流戦期間中は打撃が好調でしたが、パシフィック・リーグの球団との対戦では、東北楽天ゴールデンイーグルスに対しては高い打率（.339）を記録したものの、他の球団、特に福岡ソフトバンクホークス戦では打率.184、本塁打なしと極端に相性が悪い一面も見られました。

2011年シーズンに向けて、ブラウン選手はホセ・フェルナンデスと共に球団との契約を更新しました。しかし、シーズン開幕直前に発生した東日本大震災の影響で一時帰国を余儀なくされますが、開幕までには再来日を果たし、4月12日の開幕戦には先発メンバーとして出場します。

しかし、このシーズンは打撃不振に苦しみ、4月30日には早くも一軍登録を抹消されます。その後、6月14日に再び一軍に昇格しますが、調子を取り戻すことはできず、打率.155、本塁打ゼロと深刻な不振に陥りました。この状況から、7月15日に再び一軍登録を抹消。そして、8月7日に球団から翌日付けでのウェイバー公示が発表され、シーズン途中でライオンズを退団することが決定しました。ライオンズ退団後、ブラウン選手は現役を引退しました。

人物・エピソード

ブラウン選手はグラウンド内外で印象的なエピソードをいくつか残しています。

自身やチームメイトの中島裕之選手がホームランを打った際には、ベンチ前で「ロックスター」と称するパフォーマンスを披露するのが恒例でした。このパフォーマンスには、シーズン途中から片岡易之選手も加わるようになり、カメラに映らない場所でもエアギターをする選手が現れるなど、チームのムードメーカー的な存在でもありました。

また、得点圏に走者がいる場面を「マネータイム」と独特の表現で呼んでいました。これは「給与を稼ぐ絶好の機会だから」という意味合いが込められていたそうです。

2011年3月8日のオープン戦では、自身のユニフォームを忘れてしまったため、チームメイトであるアレックス・グラマン投手のユニフォームを借りて試合に出場するという珍事もありました。

登場曲には主にBusta Rhymesの「Stop The Party」を使用していましたが、2011年7月1日の試合のみ、TEEの「ベイビー・アイラブユー」に変更したことがあります。本人は南郷キャンプでこの曲を気に入り探していたところ、練習中に球場で耳にしたためすぐに変更したそうですが、その日の成績が3打数無安打と振るわなかったこと、そして打席で聴くには合わないと感じたことから、翌日には元の登場曲に戻したというエピソードも残っています。

記録 (NPB)

初出場・初先発出場：2010年3月20日、対千葉ロッテマリーンズ1回戦（西武ドーム）、5番・指名打者として先発出場
初打席：同上、2回裏に成瀬善久から空振り三振
初安打・初本塁打・初打点：同上、7回裏に成瀬善久から右越決勝ソロ
初盗塁：2010年4月22日、対福岡ソフトバンクホークス6回戦（福岡Yahoo! Japanドーム）、9回表に二盗（投手：神内靖、捕手：髙谷裕亮）
日本プロ野球公式戦通算90,000号本塁打：2010年4月4日、対北海道日本ハムファイターズ3回戦（札幌ドーム）、6回表に武田勝から右越ソロ

背番号

カンザスシティ・ロイヤルズ：27（1998年 - 2002年）、8（2003年 - 2004年）
オークランド・アスレチックス：17（2007年途中まで）、18（2007年途中から）
埼玉西武ライオンズ：42（2010年 - 2011年）

ディー・ブラウンは、MLBでの実績を引っ提げて日本球界に加入し、記憶に残る一発や個性的なキャラクターでファンに愛されましたが、残念ながら期待されたほどの成績を継続することはできず、短い期間で日本を去ることとなりました。しかし、そのプレースタイルやエピソードは、西武ライオンズの歴史の一ページに刻まれています。

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