デジロ

デジロ（Desiro）

デジロ（Desiro）は、ドイツのシーメンス社によって開発されたモジュラー式鉄道車両のブランド名です。この名称は、英語の「Desire」（意志）に由来している造語です。デジロは多用途に活用できる車両で、気動車および電車として製造されます。通常、2両または3両編成の構成で運行され、製造された車両によっては異なる仕様が見られますが、基本的な設計は共通しています。デジロは、近年のヨーロッパの交通システムにおける軽量モジュラー式車両の新たな世代に属し、しばしば「ライトトレイン」と称されます。

この車両は、製造及び運用コストが低く、特に加速性能が優れているため、駅間距離が短い近郊列車の運用に適しています。ただし、旅客の快適性については、一部の利用者から批判されることがあります。

各国でのデジロの運用状況

オーストリア

オーストリアでは、2005年からオーストリア国鉄がデジロを導入しています。5022形気動車が導入され、現在60編成が運用されています。これは、ドイツ鉄道の642形を基にしたもので、適切な保安装置の変更が加えられています。

ブルガリア

ブルガリア国鉄は2005年及び2006年にデジロの運行を開始し、25編成のディーゼル気動車を導入しました。この契約は6700万ユーロに上りました。2006年には16編成が納入され、主にソフィアとその周辺で運行されています。

ドイツ

ドイツのドイツ鉄道は、2000年よりデジロ気動車の2両編成を導入し、主に支線や近郊線で運行されています。642形は最高速度120km/hを誇り、非常に人気があります。運用開始以降、234両が導入され、私鉄でも多くのデジロが運行されています。

ギリシャ

ギリシャ鉄道では、2004年から2005年にかけて8両のデジロ気動車が一時的に運用され、2007年にはさらに20両のデジロ電車が登場しました。これらの電車はアテネ周辺の近郊輸送に使用され、また他の地域でも運用されています。

ハンガリー

ハンガリー国鉄ではデジロ気動車が23両運用されており、主にブダペストとその周辺での近郊輸送の役割を果たしています。

マレーシア

クアラルンプールでは、KLIAエクスプレスとKLIAトランジットでデジロET425M形電車が運行されています。これにより空港と都市間の迅速な移動を可能にしています。

ルーマニア

ルーマニア鉄道でもデジロが多く導入されており、主に急行列車として運用されています。ただし、快適性が不足しているとの声もあります。

スロベニア

スロベニア鉄道ではデジロ電車を採用し、リュブリャナとマリボル間の通勤列車として利用されています。

アメリカ合衆国

カリフォルニア州で運行されているスプリンター列車では、デジロ気動車が採用され、利用者の移動をサポートしています。

モデルバリエーション

デジロにはいくつかのバリエーションがあります。幹線向けモデル「デジロML」や、2階建て仕様の「デジロDouble Deck」、ロシア向けモデル「デジロRUS」、さらにはイギリス市場向けの「デジロUK」などがあります。これらのモデルはそれぞれ異なる仕様や設計に基づいており、特定の市場ニーズに応えるように設計されています。

デジロの将来

デジロは、現代の交通インフラにおいて重要な役割を果たしており、効率的で環境に配慮した交通手段として評価されています。多国籍にわたる運用状況はその可能性を示しており、今後も世界各地でのさらなる展開が期待されます。

もう一度検索