スロベニア鉄道

スロベニア鉄道（Slovenske železnice, SŽ）は、スロベニアの国鉄であり、1991年にユーゴスラビア鉄道（Jugoslovenske železnice）から分割して誕生しました。

歴史

スロベニアにおける鉄道の歴史は、1840年代のオーストリア帝国時代に遡ります。ウィーンとトリエステを結ぶオーストリア南部鉄道が建設され、1844年にはマリボルがグラーツと、1849年にはリュブリャナと結ばれました。1857年には、複線の路線がトリエステまで延伸しています。

第一次世界大戦までに、多くの鉄道路線が建設されました。1860年にはオルモジュからクロアチアのチャッコベツに至る路線が開通し、ハンガリー地域と接続。1862年にはサヴァ川沿いの路線がザグレブまで、1863年にはドラーヴァ川沿いの路線がクラーゲンフルト、フィラッハまで延伸されました。1870年にはサヴァ川上流の路線が建設され、イタリアのタルヴィージオまで到達。1873年には、ハンガリー地域の重要港湾であるリエカへの路線が開通しました。1906年には、フィラッハからイェセニツェを経て、イゾンツォ川沿いにトリエステを結ぶ鉄道（Bohinj Railway）が開通しています。

第一次世界大戦後には、1924年に開業したオルモジュからリュトメルまでの路線など、わずかな路線が開通したのみでした。第二次世界大戦後には、1976年にコペルへの路線が開通。1999年には、ムルスカ・ソボタからホドシュまでの路線が再開されました。この路線は1907年に開業し、1968年に廃止されたもので、1960年代に多く廃線となった路線の一つです。

鉄道の規格

スロベニア鉄道は、1,229キロの標準軌路線を有し、そのうち331キロが複線化されています。オーストリア＝ハンガリー帝国やユーゴスラビアの一部であった歴史から、周辺国への接続路線が充実していることが特徴です。

電化区間は503キロで、直流3kVで電化されています。他の旧ユーゴスラビアの鉄道は交流25kVで電化されているため、直通運転を行う際には、電気方式の切り替えが必要です。

全ヨーロッパ交通網

リュブリャナは、スロベニア鉄道の中心であり、汎ヨーロッパ回廊の5号線と10号線が交差する地点です。汎ヨーロッパ回廊は、ヨーロッパの広域的な経済統合を目的として設けられました。5号線はヴェネツィア－トリエステまたはコペル－リュブリャナ－マリボル－ブダペスト－キエフを結び、10号線はザルツブルク－リュブリャナ－ザグレブ－ベオグラード－テッサロニキを結んでいます。コペル、トリエステへの貨物路線は、地中海と中央・東ヨーロッパの内陸部を最短距離で結ぶ重要な役割を担っています。

旅客列車

スロベニア鉄道の旅客列車は、インターシティ、ユーロシティといった特急列車と、地域列車、普通列車があります。振子式のペンドリーノである310型電車（イタリアのETR460に類似）を使用したインターシティ・スロベニアが、コペル、リュブリャナ、マリボルを結んでいます。

外部リンク

スロベニア鉄道の公式サイト（英語）
路線図

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