デモゴルゴン

デモゴルゴンとは

デモゴルゴンは、神または悪魔として言及される名前です。その起源は、一般的にギリシア神話に由来すると考えられがちですが、実際にはキリスト教の学者によって異教の神または悪魔の名前として創造されたものです。冥界と関連付けられる強力な原始的存在とされ、その名前自体がタブー視されることもありました。

起源

デモゴルゴンという名前が最初に登場したのは、西暦350年～400年頃にキリスト教徒が書き残したスコリア（古注）でした。スタティウスの叙事詩『テーバイス』の余白に用語解説として書き込まれたものが最初とされています。しかし、この記述以前にはデモゴルゴンに関する異教の神話などは存在していませんでした。中世後期になると、デモゴルゴンは原初の存在としてヨーロッパの人々の間で想像力が掻き立てられるようになり、ボッカチオの『異教の神々の系譜』では、「デモゴルゴンの息子パン」という記述が登場するほどでした。

デモゴルゴン自体が架空の存在であるため、その名前の語源ははっきりとはしていません。有力な説としては、ギリシア語の「daimon」（精霊、中世初期のキリスト教では悪魔を意味した）または「demos」（人々）と、「Gorgon」（ゴルゴン）または「gorgos」（不気味）を組み合わせたというものがあります。また、「demiurge」（デミウルゴス）から変化したという説も存在しますが、前述の説ほど支持はされていません。

文学における登場

デモゴルゴンは、文学作品にも登場し、その存在感を示しています。ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』では、オルクスやハデスといった悪魔の一人として描かれました。この作品では、地獄の住人ではなく、「混沌」と「夜」が支配する領域に住む存在として登場します。また、ルドヴィーコ・アリオストの『狂えるオルランド』では、ヒマラヤ山脈に壮麗な寺院を構え、5年ごとにモイライやジンたちを招集する存在として描かれています。

その他、デモゴルゴンは以下の作品にも登場しています。

クリストファー・マーロウの『フォースタス博士』
エドマンド・スペンサーの『妖精の女王』
* パーシー・ビッシュ・シェリーの『鎖を解かれたプロメテウス』

近年の創作における登場

近年では、ファンタジー作品やゲームにもデモゴルゴンは登場しています。ファンタジー・テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、「プリンス・オヴ・デーモンズ」という尊称を持つ強力なデーモンロードとして登場します。二つのヒヒの頭と触手を持つ爬虫類のような姿で、二つの相反する精神を持つという設定です。

また、『NetHack』や『変愚蛮怒』など、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』から派生したローグライクゲームにも、同様の解釈でデモゴルゴンが登場します。その他、『真・女神転生デビチル』のキャラクターとしても登場しています。

近年では、Netflixのドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』に登場する異世界のクリーチャーが、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に登場するモンスターの名前からデモゴルゴンと名付けられたことも話題になりました。

このように、デモゴルゴンは様々な創作作品に登場し、その神秘的で恐ろしいイメージで人々の想像力を刺激し続けています。

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