デュアルレンジ

デュアルレンジの概要

デュアルレンジは、富士重工業が開発した先進的な副変速機であり、主にスバル・レオーネに搭載されていました。初代レオーネ1400エステートバン4WDが発売された時点ではシングル段階のトランスファーギアが使用されていましたが、1979年に登場した2代目レオーネ（通称「ザ・ニュー・レオーネ」シリーズ）の1.8LAWDモデルで、遂に2段の変速機能が追加されました。これにより、前進8段、後進2段の変速が可能な超クロスレシオミッションが実現されたのです。

操作方法と減速比

デュアルレンジには、HiとLoの切り替えがあり、これらの変更はシフトレバーの後に設けられた専用のレバーを使用して行います。Hiレンジでの最終減速比は1.000であるのに対し、Loレンジでは1.462となり、特にレオーネ4WD RXでは1.203に設定されています。この設計のおかげで、悪路での走破性が向上し、ジープタイプのAWDのように、必要な時にはエマージェンシー・ローとしての機能を十分に発揮します。多くのドライバーは、この変速機が非力なエンジンを補う力強い武器になったと評価しています。

モデルチェンジと復活

1984年には3代目レオーネとなる「オールニューレオーネ」が登場し、このモデルでもデュアルレンジ機能が引き続き採用されました。この際、5速マニュアルトランスミッションも導入され、前進10段、後進2段の変速が実現されました。しかし、1994年に3代目エステートバンが販売終了した際、一時的にデュアルレンジはスバルのラインアップから姿を消しました。

再びデュアルレンジが復活したのは1997年で、スバル・レガシィの派生モデルであるレガシィ・ランカスターに搭載された5速MT車でのことです。さらに2002年には、SUVモデルのスバル・フォレスターにも自然吸気エンジンと5速MT車にデュアルレンジが加わり、実質的に前進10段、後進2段の変速を可能にしていました。しかし、レガシィ・ランカスターは2003年のモデルチェンジによりデュアルレンジを廃止し、フォレスターも2005年のビッグマイナーチェンジ時に同様に消えてしまいました。

類似機構

デュアルレンジと類似したシステムには、三菱自動車工業が1978年に発売した初代ミラージュに採用されたスーパーシフト4×2があります。この機構は、デュアルレンジとほぼ同様の性能を持ち、ラリーやダートトラックで効果を発揮しました。さらに、スーパーシフト4×2は後に三菱・コルディアやトレディアなどのパートタイム4WD車に搭載され、一定の評価を受けました。

また、本田技研工業は1985年に初代ホンダ・シティRに副変速機を搭載したハイパーシフトを開発しましたが、変速が自動制御だったため選択の自由度は不十分でした。このように、デュアルレンジはその革新性と高い機能性から多くのドライバーに愛され、時代を超えて評価されています。

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