デュラムコムギ

デュラムコムギ（Triticum durum）について

デュラムコムギは、広く栽培される小麦の中でも特有の特徴を持つ4倍体の品種であり、その学名はTriticum durumです。この小麦は、乾燥した高温の気候に特に適しており、主に地中海沿岸、北アフリカ、中央アジア、そしてアメリカ大陸などで生産されています。この小麦は、一般に「マカロニコムギ」とも呼ばれ、パスタの原料として広く利用されています。

特徴と使い道

デュラムという名称は、ラテン語の「durum」（硬い）に由来しており、特にその胚乳部分が黄色い粗粒として抽出され、セモリナ粉として加工されます。このセモリナ粉は、主にパスタの製作に利用されることが多く、マカロニやスパゲッティなど様々な種類のパスタに使われています。また、デュラムコムギは比較的高いタンパク質を含有していますが、粘り気が少ないため、パン作りには他の品種の小麦とブレンドすることが一般的です。

イタリアでは、法律により乾燥パスタを製造する際にはデュラムセモリナ粉と水だけを使用することが義務付けられています。一方、フレッシュパスタはパンコムギから作られるケースが多いです。

株の前史と分類

デュラムコムギの遺伝子構造は、4倍体ゲノムであるAABB型を持っています。紀元前7000年ごろに、Aゲノムを有する一粒系野生小麦とBゲノムのクサビコムギが交雑することで二粒コムギであるエンマーコムギ（T. dicoccum）が誕生し、選別・栽培が進む中でデュラムコムギが形成されたと考えられています。

また、コムギ属の遺伝子構成は倍数性を持ち、特にデュラムコムギは異質倍数体として知られています。減数分裂の過程では、染色体同士が対合せずに一価のまま残るため、特異な遺伝的特性を有しています。1944年に行われた研究では、デュラムと他の小麦種との交雑が提唱され、これに伴って野生種が発見されるなど、遺伝子解析の重要性が示されました。

用途と栽培

デュラムコムギは、その用途が非常に多岐にわたります。北アフリカやレバント地域ではクスクスに使用され、中東では粉に挽いてフラットブレッドが作られます。また、ヨーロッパではピザ生地にも利用される等、地域ごとに様々な用途が広がっています。

日本でも、農業関連機関と製粉業者が協力して2016年に国産のデュラムコムギ品種「セトデュール」を開発しました。この品種は、兵庫県にて適度な気候条件のもとで栽培され、年間100トン以上の生産が報告されています。

製造工程

デュラムコムギは、以下の製造プロセスを経て食品として加工されます。最初に刈り入れを行い、その後脱穀して穀粒を取り出します。その後、脱皮処理を経て製粉工程に進みます。具体的な製粉過程は次のようになります：

• - 洗浄：異物や壊れた穀粒を取り除きます。
• - 水分調整：種皮と内胚乳を分離しやすくするため、水分を調整して種皮を強化します。
• - 粉砕：穀物を粉に挽いて、篩にかけます。
• - 精製：最後に、ふすまを取り除いて生成物を精製します。

これらのプロセスを経ることで、デュラムコムギは様々な製品として消費者の元に届くのです。

デュラムコムギは、世界中で愛される料理の基盤を作っている重要な作物であり、その生産と利用に関する理解は今後も進められていくでしょう。

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