デューク

「デューク（duke）」は、特に英語圏において様々な文脈で使用される言葉です。その最も古く、基本的な意味は、貴族の称号である「公爵」を指します。公爵は通常、貴族階級における最高位またはそれに近い位階であり、大きな権力や広大な領地を持つ者に対して与えられました。

しかし、「デューク」という言葉は、単に称号にとどまらず、固有名詞としても非常に多様な形で用いられています。まず、人名としては、姓と男性名の両方として広く存在します。姓としてのデュークは、アメリカの実業家であるワシントン・デュークとその子息ジェームズ・ブキャナン・デュークに始まるデューク家が特に有名で、彼らはタバコ産業で巨万の富を築きました。他にも、野球選手のザック・デューク、俳優のクラーク・デュークやパティ・デューク、オートバイレーサーのジェフ・デュークなど、様々な分野で活躍した人物の姓として見られます。男性名としてのデュークも広く使われており、ジャズ界の巨匠デューク・エリントン、サーフィンのパイオニアであるデューク・カハナモク、メジャーリーグの殿堂入りを果たした野球選手デューク・スナイダーなどが著名です。また、現代のサッカー界では、デューク・カルロス、キャメロン・デューク、ミッチェル・デューク、ブライス・デュークといった選手たちが活躍しています。ウォーキングトレーナーのデューク更家氏や、ジャーナリストのデューク雪子氏のように、日本に関連する人物も存在します。

地名としては、アメリカ合衆国アラスカ州に位置するアレキサンダー諸島の島、デューク島などがあります。

組織や企業、機関の名としても「デューク」は用いられています。ノースカロライナ州にあるデューク大学は、全米有数の名門私立大学として知られています。また、大手電力・ガス会社の持株会社であるデューク・エナジーや、数学分野の著名な論文誌「Duke Mathematical Journal」、アメリカ合衆国のレコードレーベル「デューク・レコード」なども存在します。

さらに、アダルトゲームのブランド名に「公爵」と書いて「デューク」と読ませる例や、日本の男性ボーカルグループデューク・エイセス（1955年結成、2017年活動停止）のように、エンターテイメント分野でもこの名前が見られます。俳優ジョン・ウェインが「デューク」の愛称で親しまれたこともあります。イギリス海軍には、「デューク」と命名された戦列艦が複数存在しました。

作品名や商品名としても、「デューク」は頻繁に登場します。江國香織による短編小説の題名や、Java言語のマスコットキャラクターの名前が「デューク」です。音楽分野では、スティーヴィー・ワンダーのヒット曲「愛するデューク」や、プログレッシブ・ロックバンド、ジェネシスのアルバムタイトル「デューク」があります。自動車分野では、かつて三菱自動車が販売していた「パジェロミニデューク」がありました。

フィクションの世界においても、「デューク」という名前を持つキャラクターは多数登場します。テレビゲームでは、『闘神伝』シリーズのデューク・バルテルミ・ランバート、『新約 聖剣伝説』の小説版主人公デューク、『KOF MAXIMUM IMPACT』シリーズのデューク、『テイルズ オブ ヴェスペリア』のデューク・バンタレイなどが知られています。アニメ『UFOロボ グレンダイザー』の主人公は、デューク・フリード（宇門大介）という名前を持っています。また、日本の人気作品にも「デューク」の名を持つキャラクターがいます。さいとう・たかを氏の漫画『ゴルゴ13』の主人公、ゴルゴ13は、その別名の一つとして「デューク東郷」を用います。テレビドラマ『太陽にほえろ!』には、島津公一刑事の愛称として「デューク刑事」が登場しました。

このように、「デューク」という単語は、貴族の称号から始まり、実在・架空を問わず様々な人名、組織、地名、そして作品名やキャラクター名に至るまで、非常に幅広い対象を指し示す言葉として使用されています。その多様性は、「デューク」という響きが持つイメージや、歴史的な背景、そして各分野における個別の命名によるものと考えられます。

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