デンマーク国鉄

デンマーク国鉄（DSB）について

デンマーク国鉄（Danske Statsbaner、DSB）は、デンマークの国有鉄道であり、国内の旅客輸送において中心的な役割を担っています。北欧の鉄道事業者の中では、事業規模が最大です。DSBは、優等列車、普通列車（Regionaltog）、コペンハーゲン首都圏近郊のS-Togなど、多様な路線を運行しています。また、原則として自転車用の切符を購入すれば、列車内の指定スペースに自転車を持ち込むことが可能です。

歴史

デンマークにおける初期の鉄道は、私企業によって建設されました。しかし、デンマーク政府は1867年から鉄道の国有化を進め、1885年には、ユトランド・フュン鉄道とシェラン鉄道が統合され、デンマーク国鉄（DSB）が設立されました。

1930年代には、鉄道の近代化と発展が図られました。小ベルト橋をはじめとする鉄道橋が建設され、コペンハーゲン周辺の路線は直流1500Vで電化され、S-Togが運行を開始しました。また、特急列車「リュントー(lyntog)」が導入され、時速120kmでの運行と快適さを両立させたディーゼルカーが使用されました。

第二次世界大戦後、1960年代に入ると、DSBは他のヨーロッパ諸国と同様に業績が悪化しました。そのため、人員削減や電子機器の導入による業務改善が進められました。1972年には、創立125周年を迎え、それまでのマルーンと黄色の車輪の紋章を廃止し、赤を基調とした新しいデザインを採用しました。1974年には、オランダ[[鉄道]]や英国鉄道に続き、長距離インターシティ列車やコペンハーゲン発着の通勤電車において、等間隔で列車を運行する新しい時刻表が導入されました。

1990年、数年の遅延を経てIC3気動車の運行が開始され、1991年にはインターシティーとして運行されました。IC3はABBスカンディア（後にアドトランツに吸収）によって開発された車両で、3両編成で構成され、他の編成と連結する際には、特徴的なゴム製の貫通幌を通じて内部を行き来することが可能です。1997年には、グレートベルト・リンクの鉄道部分が開通し、DSBが運行してきたフェリーが廃止されました。同年、DSBの設備メンテナンス業務がBanestyrelsenとして分離され、1998年にはDSBは独立した企業となりました。2001年には貨物部門がレイリオン（現在のDBシェンカー・レール）と合併し、DSBは旅客輸送に専念することになりました。

企業概要

DSBは、1999年から独立採算制で運営されている国営企業です。2005年の時点で、約9000人の従業員を雇用しています。

組織

DSBは、複数の部門によって構成されています。

DSB Salg（営業およびマーケティング）
DSB Produktion（S-Togを除く列車の運行と保守）
DSB S-tog a/s（S-Togネットワークの運行）
DSB Detail a/s（DSB駅構内の店舗管理）
DSB International（海外での列車運行）

事業内容

DSBは、以下の多様な旅客輸送サービスを提供しています。

Regional trains（普通列車）：東部ではRØ、西部ではRV、エーレスンド地方ではØRとして運行。
Inter-regional trains（IR）：地域間を結ぶ列車。
InterCity（IC）：都市間を結ぶ特急列車。
InterCityLyn (L)：高速インターシティ列車。
ユーロシティ（EC）：国際列車。
シティナイトライン：夜行列車。
S-Tog：コペンハーゲン首都圏の通勤電車。
* Øresundståg：Regional trainの延長として、コペンハーゲン北部のヘルシンオアからスウェーデンのヘルシンボリまで、エーレスンド海峡を渡る路線。コペンハーゲン中央駅、コペンハーゲン空港駅、マルメ中央駅、ルンド駅などを経由。


DSBは、デンマークの鉄道輸送において重要な役割を果たしており、その歴史と組織は、デンマークの交通システムを理解する上で不可欠な要素となっています。

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