トゥディヤ

トゥディヤ：アッシリア王名表に刻まれた最初の王

トゥディヤ（Tudiya、Tudia、アッカド語: 𒂅𒁲𒅀）は、古代アッシリアの歴史において、その始まりを飾る人物として知られています。アッシリア王名表において、彼は初代の王として記録されていますが、同時代の史料による裏付けは存在しません。彼は「天幕に住んだ17人の王たち」の一人として数えられていますが、その実在性については考古学的な証拠がなく、依然として謎に包まれています。

アッシリアとバビロンの系譜におけるトゥディヤ

初期のアッシリア王たちに関する情報は、アッシリア王名表の記述がほぼ全てです。トゥディヤの後には、アダムが王位を継ぎ、その後も15人の支配者が続いたとされています。これらの王たちは、「天幕に住んだ17人の王たち」として、その存在が記録されています。

興味深いことに、これらの王たちの名前は、後のバビロン王ハンムラビの祖先系譜を記したバビロニアの粘土板にも登場します。トゥディヤの名前は、粘土板の中では「トゥブティヤムタ」または「トゥブティヤムトゥ」という形で現れており、アダムの名前と結合している可能性も指摘されています。

フィンケルステインは、もしトゥディヤの名前がよりオリジナルな形を保っているならば、「atūdu」または「dūdu」（野生の牡羊）と関連付けられるかもしれないと考察しています。これは、セム人が部族名に動物の名前を用いる習慣と一致しており、ディダヌ（オーロックス・野牛）のように、同様の解釈が可能な王名も存在します。

年代に関する考察

トゥディヤは、紀元前23世紀頃の人物、すなわちエブラ王イサル・ダムの宰相イブリウムや、アッカド帝国の王サルゴンと同時代の人であったとする説があります。しかし、これらの説を裏付ける確固たる証拠は存在しません。

関連事項

アッシリアの年表
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アッシリアの一貫性
アッシリア人
アッシリア

参考文献

Edmond Sollberger, , "the so-called treaty between Ibla and 'Ashur'", Studii Eblaiti 3 (1980:129-155).
J.J.Finkelstein (1966). “The Genealogy of the Hammurapi Dynasty”. Journal of Cuneiform Studies (The University of Chicago Press on behalf of The American Schools of Oriental Research) 20: 95-118. https://www.jstor.org/stable/1359643.
Gerard Gertoux (2015-9). Abraham and Chedorlaomer: Chronological, Historical and Archaeological Evidence. Lulu.com. ISBN 978-1-32955353-8
板倉勝正、堀晄、前田徹、中田一郎、月本昭男、渡辺和子、山本由美子『メソポタミアの世界 必携』NHK学園、1988年12月。ASIN B01LTIPZH4。
ホルスト・クレンゲル 著、江上波夫 訳『古代バビロニアの歴史 ハンムラビ王とその社会』山川出版社、1980年3月。ISBN 978-4-634-65170-8。
ジャック・フィネガン 著、三笠宮崇仁 訳『考古学から見た古代オリエント史』岩波書店、1983年12月。ISBN 978-4-00-000787-0。

トゥディヤは、アッシリアの歴史の黎明期に位置する、謎多き人物です。今後の研究によって、彼の存在がより明確になることが期待されます。

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