トカゲギス科

トカゲギス科 (Halosauridae)

トカゲギス科は、ソコギス目に属する深海魚のグループです。その名の通り、トカゲに似た特徴的な頭部を持ち、深海という特殊な環境に適応した多様な生態を持っています。

分布

トカゲギス科の魚類は、世界中の深海に広く分布しています。特に、太平洋、インド洋、大西洋の大陸辺縁部に多く見られます。水深400mから3,000mの範囲に生息する種類が多いですが、中には水深5,000mに達する種類も存在します。日本近海からは、トカゲギス、トゲトカゲギス、クロオビトカゲギスの3種が報告されています。

生態

トカゲギス類は、海底付近を活発に遊泳し、餌を探す狩猟採集型の深海魚です。胸鰭を広げ、細長い尾部を波打たせるようにして海底直上を移動します。平たい吻で海底の砂泥を掘り起こし、甲殻類や貝類などの埋在動物を捕食します。同じソコギス目のソコギス科魚類が表在性の生物を食べるのとは対照的です。

カライワシ上目の特徴であるレプトケファルス幼生期を経て成長します。

形態

体型は細長く、体長は40cmから170cm程度に成長します。上下に平たく縦扁した頭部が特徴で、和名の由来となっています。両顎には歯があり、上顎は前上顎骨と主上顎骨に縁取られています。ソコギス科と似た形態を持ちますが、鰓膜が完全に分離していること、鱗が比較的大きく両側に30列以下の縦列をなすこと、背鰭が明瞭で後端が肛門よりも前方に位置することなどで区別できます。側線はくぼみ状で、体の全長に及んでいます。背鰭は9-13本の軟条で構成され、棘条はありません。胸鰭は体の高い位置にあり、臀鰭の基底は長いです。鰓条骨は9-23本です。

分類

トカゲギス科は、3属16種の現生種と、白亜紀後期の絶滅属であるEchidnocephalus属で構成されています。

クロオビトカゲギス属 Halosauropsis
クロオビトカゲギス Halosauropsis macrochir
トカゲギス属 Aldrovandia
トカゲギス Aldrovandia affinis
Aldrovandia gracilis
Aldrovandia mediorostris
Aldrovandia oleosa
Aldrovandia phalacra
Aldrovandia rostrata
トゲトカゲギス属 Halosaurus
トゲトカゲギス Halosaurus sinensis
Halosaurus attenuatus
Halosaurus carinicauda
Halosaurus guentheri
Halosaurus johnsonianus
Halosaurus ovenii
Halosaurus pectoralis
Halosaurus radiatus
Halosaurus ridgwayi

参考文献

Joseph S. Nelson, Terry C. Grande, Mark V.H. Wilson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2016年 ISBN 978-1-118-34233-6
Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
Andrew Campbell・John Dawes編、松浦啓一監訳 『海の動物百科3 魚類II』 朝倉書店 2007年（原著2004年） ISBN 978-4-254-17697-1
岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
中坊徹次編 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 東海大学出版会 2013年 ISBN 978-4-486-01804-9
藤倉克則・奥谷喬司・丸山正編著 『潜水調査船が観た深海生物 深海生物研究の現在 第2版』 東海大学出版会 2012年 ISBN 978-4-486-01967-1

外部リンク

FishBase - トカゲギス科 (英語)

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