トマス・プライド

サー・トマス・プライド：イングランド革命を彩った軍人、そしてその波乱の人生

サー・トマス・プライド (Sir Thomas Pride, 生没年不詳-1658年10月23日) は、17世紀イングランドを揺るがした清教徒革命、すなわちイングランド内戦において重要な役割を果たした人物です。議会派の軍人として活躍し、特に「プライドのパージ」の実行者として、そしてイングランド王チャールズ1世処刑の加担者として歴史に名を残しています。彼の生涯は、激動の時代を生きた一人の軍人のドラマであり、イングランド革命の複雑さを物語るものです。

不明な出自と軍人としてのキャリア

プライドの出自については、ロンドンかサマセット出身とする説があり、定説がありません。荷馬車引きや醸造業者の雇われ人だったという記録も残されています。しかしながら、第一次イングランド内戦の勃発と共に彼は議会派に加わり、エセックス伯ロバート・デヴァルーの下で従軍を始めます。ニューモデル軍の創設後は大佐にまで昇進し、軍事的な才能を開花させていきます。

プライドのパージとチャールズ1世処刑

1648年の第二次イングランド内戦におけるプレストンの戦いでの活躍や、ロンドン占領での功績は、プライドの名声を高めました。この功績が、彼の後の運命を大きく変えることになります。

独立派と軍の連携が強まる中、プライドは陸軍評議会とニューモデル軍司令官トーマス・フェアファクスの命令の下、銃兵隊を率いて、国王との妥協を模索していた長老派と王党派の議員を議会から排除します。これが歴史に「プライドのパージ」として知られる出来事です。この粛清によって議会は独立派の掌握下に置かれ、チャールズ1世の裁判へと道を切り開きました。プライドは1649年1月のチャールズ1世裁判委員に任命され、死刑執行令状にも署名したのです。

第三次内戦とクロムウェルとの関係

続く第三次1651年'>[イングランド内戦]]では、フェアファクスの後任であるオリバー・クロムウェルの指揮下でダンバーの戦い(1650年)とウスターの戦い]に参加し、歩兵旅団を率いて戦功を重ねました。戦後、サリーのノンサッチ宮殿の土地を購入し、[[1655年にはサリーの保安官に任命されるなど、私生活でも成功を収めました。

イングランド共和国の成立後、1657年の第二議会でクロムウェルの国王即位問題が議論されると、聖職者ジョン・オウエンらと共に即位に反対しました。ただし、それ以外の政治への関与は控えめでした。クロムウェルからの信頼は厚く、1656年には騎士に叙任され、1657年には謙虚な請願と勧告制定により創設された第二院の議員にも選ばれています。

最期と王政復古後の扱い

1658年、プライドはノンサッチ宮殿の庭園に建てたウスター・パークハウスで亡くなりました。しかし、彼の生涯の幕切れはこれだけでは終わらなかったのです。1660年の王政復古後、プライドの遺体はクロムウェル、ヘンリー・アイアトン、ジョン・ブラッドショーらと共に墓から掘り起こされ、タイバーンで絞首刑に処せられました。これは、王政復古政府による革命派への徹底的な弾圧を示す象徴的な出来事でした。

プライドとエリザベス・マンク

プライドは、初代アルベマール公爵ジョージ・マンクの姪にあたるエリザベス・マンク(1628年生)と結婚していました。この婚姻関係も、彼の複雑な人生の一側面を垣間見せてくれます。

結論：時代を象徴する人物

サー・トマス・プライドは、単なる軍人以上の存在でした。彼の生涯は、イングランド革命という激動の時代を生き抜き、その中で重要な役割を果たした一人の男の物語です。プライドのパージという歴史的な行為に加担した彼の存在は、革命の残酷さと複雑さを私たちに問いかけ続けています。彼の功績と、その後の処遇の対比は、イングランド革命の大きな流れとその時代の矛盾を象徴していると言えるでしょう。

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