ヘンリー・アイアトン

ヘンリー・アイアトン：清教徒革命期の指導者

ヘンリー・アイアトン(1611年-1651年)は、イングランド内戦において重要な役割を果たした人物です。ジェントリ階級に生まれ、オックスフォード大学と法学院で学んだ彼は、1642年のイングランド内戦勃発を機に、ピューリタンとして議会派(議会軍)に加わります。

アイアトンは、エッジヒルの戦い(1642年)やマーストン・ムーアの戦い(1644年)といった主要な戦いに参加し、王党派と激しく戦いました。特にネイズビーの戦い(1645年)では左翼を指揮しましたが、国王軍右翼に敗れ捕虜となります。しかし、クロムウェルの活躍によって議会軍が勝利したことで解放されました。

この戦いの功績により、アイアトンは下院議員に選出され、翌年にはクロムウェルの娘、ブリジットと結婚します。第一次イングランド内戦終結後、議会派内部では長老派と独立派の対立が激化しました。アイアトンは独立派に属し、クロムウェルを支持しました。ニューモデル軍の中でも、平等派と独立派の対立が深刻化する中、アイアトンは両派の調停役を買って出ます。

1647年、軍の政治要求をまとめた『建議要目』を作成し公表しました。この文書は、下院解散、選挙制度改革、議会開催頻度の増加などを求めるものでした。王政の存続は認めるものの、議会による軍事外交の制限や、議会による軍の指揮権と官僚任命権の掌握などを主張し、議会の権限拡大を強く訴えました。この『建議要目』は、軟禁されていたチャールズ1世にも伝えられましたが、拒否されました。

その後、より急進的な平等派の『人民協定』が発表される中、アイアトンはクロムウェルと共に穏健な立場をとり、平等派との妥協点を探りました。パトニー討論にも参加し、クロムウェルの意見を代弁しました。チャールズ1世の身柄移送に関与したという疑惑も持たれています。

パトニー討論では、平等派が共和制国家を目指した改革案を提示しましたが、アイアトンとクロムウェルは秩序の破壊を懸念し反対しました。討論は決着することなく終結します。

1648年、スコットランドがチャールズ1世の救出を図り第二次イングランド内戦が勃発すると、アイアトンはクロムウェルの代わりにイングランド南部で戦いました。チャールズ1世の裁判では死刑判決に署名し、チャールズ1世処刑後のイングランド共和国成立に貢献しました。その後、クロムウェルと共にアイルランド征服に乗り出します。

1650年には第三次イングランド内戦が勃発し、アイアトンはアイルランド征服を続け、ウォーターフォードやリムリックを占領しました。しかし、1651年に病死しました。彼の死後、アイルランド征服はフリートウッドらによって続けられ、1652年に終結しました。アイアトンの遺体はウェストミンスター寺院に埋葬されましたが、王政復古後の1661年、クロムウェルと共に遺体が掘り起こされ、斬首刑に処せられました。

アイアトンは、クロムウェルの親しい協力者として、イングランド内戦と共和国の成立に大きく貢献した人物でした。彼の政治的立場や行動は、内戦期の複雑な政治状況を反映しており、現在でも様々な議論を呼び起こしています。彼の生涯は、イングランドの歴史を理解する上で重要な手がかりを与えてくれます。

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