トヨタ・ブレビス

トヨタ・ブレビス（2001年 - 2007年）：革新的なコンパクトセダン

トヨタ・ブレビスは、2001年6月から2007年6月にかけてトヨタ自動車によって製造・販売されていたセダン型の乗用車です。プログレの姉妹車として、「小さな高級車」というコンセプトを掲げ、保守的なプログレとは対照的に、躍動感と若々しさを追求したデザインと先進的な装備が特徴です。

デザインとコンセプト

「ACTIVE ELEGANCE（アクティブ・エレガンス）」をキャッチコピーに、エクステリアは3代目セルシオを彷彿とさせるダイナミックなデザインを採用。抑揚のあるフードバルジ、立体的なリアコンビランプ、ゴールドリングをアクセントにした丸型三連ヘッドランプなどが個性を際立たせていました。プログレよりもわずかに拡大されたボディサイズも、存在感を高める要素となっていました。

インテリアもプログレから一新され、オプティトロンメーターやデジタルクロック、本アルミ素材のセンタークラスターなどが採用され、上質な空間を演出。運転席周りのデザインも刷新され、ゲート式セレクターが採用されるなど、操作性も向上しました。

先進的な装備

ブレビスは、当時のクラスを超えた先進的な装備が満載でした。エレクトロマルチビジョン、NAVI・AI-SHIFT制御付カーナビゲーション、レーダー/定速クルーズコントロール、高性能オーディオ、本革シート、ムーンルーフ、電動シート、電動リヤサンシェード、ブラインドコーナーモニター、ディスチャージヘッドランプ、ヒーター付レインクリアリングミラー、フルコンシールドワイパー、室内イルミネーションなどが用意されていました。

特に注目すべきは、乗用車では世界初となる純正5.1ch対応DVDシステム（「ブレビス・スーパーライブサウンドシステム」）と、ドライバーに合わせてシートやステアリングだけでなく、ペダルの位置まで調整できる「パーソナルドライビングポジションシステム」です。特に「パワーアジャスタブルペダル」は、日本車のみならず世界的にも珍しい装備でした。

エンジンとメカニズム

エンジンは、プログレ後期型と同様に、直列6気筒 2JZ-FSE 3,000cc（Ai300）または 1JZ-FSE 2,500cc（Ai250）の自然吸気ガソリン直噴エンジンを搭載。駆動方式はFR（Ai300・Ai250）または4WD（Ai250 Four）が選択可能でした。安全装備も充実しており、EBD付ABS、VSC、TRCが全車標準装備。前席サイドエアバッグ・前後席カーテンエアバッグはAi300に標準装備、Ai250・Ai250 Fourにはオプション設定されていました。

モデル変遷

2001年6月：発表（Ai300・Ai250）
2001年10月：4WDモデル追加（Ai250 Four）
2002年5月：特別仕様車「プレミアム」追加
2003年1月：特別仕様車「エレガンス」追加
2003年6月：特別仕様車「プレミアム（Ai300 プレミアム）」追加
2004年4月：一部改良。フロントグリル、ランプ類、ガーニッシュのデザイン変更。内装ではステアリングホイールのデザイン変更やナビの機能強化など。
2005年12月：一部改良。全車にG-BOOK対応ナビを標準装備。
2007年5月：生産終了
* 2007年6月：販売終了

販売とその後

ブレビスはトヨタ店で販売されていましたが、クラウンの人気に隠れ、販売は苦戦しました。2007年にプログレと共に販売を終了し、事実上の後継車はSAIとなりました。本来の目標であったDセグメント市場は、レクサス・ISが担うことになりました。

車名の由来

車名の由来は、英語で「勇敢」を意味する「Brave」から取られた造語です。フロントエンブレムは、勇敢さの象徴であるライオンをモチーフにしていますが、紋章学上の理由から左向きのデザインとなっています。

ブレビスは、短い期間での販売でしたが、その革新的なデザインと先進的な装備は、記憶に残る一台です。

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