トヨタ・NRエンジン

トヨタ・ダイハツ NRエンジン：小型車向け高効率エンジンの系譜

トヨタ自動車とダイハツ工業が共同開発したNRエンジンは、世界中のトヨタグループの小型車に搭載されている、水冷直列4気筒ガソリンエンジンです。Cセグメント以下の車種をターゲットに、高い燃費効率と環境性能を実現するために設計されました。

NRエンジンの概要と特徴

NRエンジンは、トヨタのNZエンジンをベースに、軽量化と高性能化を図って開発されました。シリンダーヘッドとシリンダーブロックにはアルミダイキャストを採用し、軽量化を実現。また、トヨタの可変バルブタイミング機構であるDual VVT-iやVVT-iEを採用することで、幅広い回転域での高出力と高い燃費効率を両立しています。

ダイハツが設計を担当し、当初はダイハツが生産を担当していましたが、2014年以降一部のエンジンはトヨタでも生産されるようになり、トヨタグループ内での内製化が進みました。ただし、新興国・途上国向けのエンジンには、コスト削減のためDual VVT-iが搭載されていないバージョンも存在します。

NRエンジンのバリエーション

NRエンジンには、様々な排気量と仕様のバリエーションが存在します。主なものを以下に挙げます。

1.3L エンジン

1NR-FE: NRエンジンのベースモデル。欧州仕様車では「ストップ＆スタート」システムと組み合わせられました。日本市場では、iQなどに搭載されました。
1NR-FBE: 1NR-FEのフレックス燃料版。ブラジル市場のエティオスやヤリスに搭載されました。
1NR-FKE: VVT-iEを採用し、燃費効率をさらに向上。日本市場専用エンジンとしてヴィッツなどに搭載されました。
1NR-VE: ダイハツ名義のエンジン。アバンザやセニアなど、ダイハツ車やプロドゥア車に搭載されました。
4NR-FE: 中国市場のヴィオスに搭載された、1NR-FEとスペックが同じエンジン。
6NR-FE: 中国市場のヤリスLに搭載された、1NR-FEとスペックが同じエンジン。

1.5L エンジン

2NR-FE: 主にアジア市場向け。コスト削減のため、一部車種ではVVTレス仕様も存在します。シエンタなどの日本市場でも販売されている車種にも搭載されましたが、日本仕様車は設定がありませんでした。
2NR-FBE: 2NR-FEのフレックス燃料版。ブラジル市場のエティオスやヤリスに搭載されました。
2NR-FKE: VVT-iEを採用し、燃費効率を向上。カローラアクシオやカローラフィールダーなどの日本市場向けモデルにも搭載されました。
2NR-VE: ダイハツ名義のエンジン。アバンザやタウンエースなど、ダイハツ車に搭載されました。
5NR-FE: 中国市場のヴィオスに搭載された、2NR-FEとスペックが同じエンジン。
7NR-FE: 中国市場のヤリスLに搭載された、2NR-FEとスペックが同じエンジン。

1.2L エンジン

3NR-FE: エティオスリーバなどに搭載。コスト削減のため、一部車種では可変バルブタイミング機構が省かれています。
3NR-VE: ダイハツ名義のエンジン。アギアやアイラなど、ダイハツ車に搭載されました。

1.2L ターボエンジン

* 8NR-FTS: トヨタブランド初のダウンサイジングターボエンジン。アトキンソンサイクルを採用し、高い熱効率を実現。オーリスやC-HRなどに搭載されました。

NRエンジンの技術

NRエンジンは、様々な先進技術を採用することで、高効率と高性能を両立しています。主な技術として、Dual VVT-i、VVT-iE、ミラーサイクル、クールドEGRなどが挙げられます。特に、1NR-FKEと2NR-FKEは、トヨタのハイブリッドカーにも採用されている技術を取り入れることで、高い熱効率を実現しています。

まとめ

NRエンジンは、トヨタとダイハツの技術協力によって生まれた、高効率で環境性能に優れたエンジンです。様々なバリエーションと搭載車種を通じて、世界中のユーザーに貢献しています。今後、さらなる改良や進化が期待されます。

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