トライトン (タンバー級潜水艦)

USS Triton (SS-201)

USS Triton (SS-201)はアメリカ海軍に所属する潜水艦の一隻であり、タンバー級潜水艦に分類されます。この艦名はギリシャ神話の海神トリトンに由来し、トライトンという名前を持つ艦は1918年に短期間利用されたタグボート以来の3隻目にあたります。

艦歴

起工と就役

トライトンは1939年7月5日にメイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工し、翌年の1940年3月25日にキング夫人の命名により進水しました。その後、8月15日に艦長ウィリス・A・レント少佐の指揮の下で正式に就役。この艦は1941年1月から3月にかけてカリブ海で整調訓練を行った後、ポーツマスからニューロンドンの海域で機雷敷設訓練を受けました。

1941年7月1日にはポーツマスを出航し、7月12日にパナマ運河を通過後、7月20日にカリフォルニア州サンディエゴに到着しました。その後、姉妹艦のトラウトとともにハワイへ向かい、8月4日に真珠湾に到着しました。

第1の哨戒（1941年11月-12月）

トライトンは第62潜水隊に配属され、8月30日から9月15日までミッドウェー島近海で訓練を行った後、11月19日には平時哨戒のため西に向かいました。12月8日にはウェーク島の煙を確認したが、これが日本の攻撃によるものと認識せず、夜には真珠湾攻撃の情報を受けました。

その後、自動的に戦時哨戒に切り替えられ、トライトンはウェーク島の爆撃を目撃しました。12月10日夜、トライトンは艦艇に接近し、艦尾発射管から魚雷を4本発射しましたが、敵艦に対する効果は無く、タスクフォースの動きにも気づきませんでした。12月31日、トライトンは42日間の行動を終えて真珠湾に帰還しました。

第2の哨戒（1942年1月-3月）

1942年1月25日、トライトンは東シナ海に向けて出航し、上海や大連を結ぶシーレーンを中心に哨戒を行いました。2月17日には九州沖で貨物船を発見し、魚雷を発射しましたが、命中はありませんでした。同日の夜、特設砲艦を発見し、魚雷攻撃に成功しました。

トライトンはこの哨戒での攻撃的な行動と2隻に対する戦果を評価されましたが、魚雷の過剰使用が指摘されました。3月17日、52日間の行動を終え、真珠湾に帰還しました。

第3の哨戒（1942年4月-6月）

4月13日、トライトンは再度東シナ海へ向かい、トロール船に対して浮上しての砲撃に成功します。また、他の艦艇に対して魚雷攻撃を行い、いくつかの戦果を挙げました。6月4日、トライトンは52日間の行動を終えて真珠湾に戻りました。

第4の哨戒（1942年6月-9月）

この期間中には、アリューシャン列島方面での哨戒を行い、駆逐艦に対する攻撃を成功させました。しかし、戦果の多くは戦後の調査に基づき一部のみが確認されています。9月7日、60日間の行動を終えて真珠湾に帰還し、オーバーホールを行いました。

第5の哨戒（1942年12月-1943年1月）

トライトンは再びウェーク島やカロリン諸島方面へ向かい、敵艦への爆撃と救助任務を命じられました。12月30日には不審船を発見し、魚雷攻撃を実施。続く1月には貨物船への攻撃を行うも、帰投中に護衛艦からの爆雷攻撃を受けるなど、厳しい状況が続きました。1月26日、40日間の行動を経てブリスベンに戻りました。

第6の哨戒（1943年2月-3月）

トライトンはソロモン諸島方面へ進出し、敵の動向を監視しましたが、最終的には行方不明となりました。トライトンは軍指令からの応答がなく、3月15日に日本艦艇による攻撃を受けた記録が残っており、その後の消息は絶たれました。1943年4月にトライトンは喪失が確認されたとされています。トライトンはその戦功により5つの従軍星章を受章しました。

この艦は、その名前が持つ神々しさだけでなく、歴史に名を刻んだ潜水艦として今も多くの人々に記憶されています。

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