トリポリ (ギリシャ)

ギリシャ、ペロポニソス地方の要衝：トリポリ

トリポリ（Τρίπολη / Trípoli）は、ギリシャ共和国ペロポニソス地方の中央部に位置する都市であり、アルカディア県の県都です。人口は約3万1000人。ペロポニソス地方の行政の中心地としての役割も担っています。その名は、周辺に点在する3つの古代都市遺跡に由来し、「3つの都市」を意味する「トリポリス」から名付けられました。

地理

トリポリは、首都アテネから西南西へ約130km、ペロポニソス半島最大の都市パトラから東南へ約95kmに位置し、ペロポニソス半島のほぼ中央に位置しています。コリントスの西南約65km、カラマタの東北約60kmに位置し、両都市を結ぶ交通の要衝でもあります。

自治体としてのトリポリ市は、2011年の合併により、ペロポニソス地方最大の面積を誇ります。市域は南北に約60kmに及び、多様な地形を有しています。

トリポリは標高約650mの盆地に位置し、周囲を豊かな自然に囲まれています。特に、市街の北西にそびえるメナロ山は、トリポリの象徴的な存在です。かつて湿地帯であった南西部は、干拓により農地として利用されています。

気候

トリポリは、標高の高い内陸部に位置するため、夏は乾燥し、冬は厳しい寒さに見舞われます。地中海性気候と大陸性気候が混在し、年間を通して寒暖差が大きいのが特徴です。夏には40℃を超えることもあれば、冬には-10℃を下回ることもあります。また、10月後半から4月初旬にかけて降雪が見られるなど、四季の変化が豊かな気候です。

歴史

中世には、ドロボリツァなど様々な名で呼ばれていました。これらの地名は、「水の町」を意味するギリシャ語、または「オークが茂る平原」を意味する南スラヴ語に由来すると考えられています。

現代のトリポリは、1770年に建設されました。オスマン帝国統治下では、ペロポネソス半島の行政中心地の一つとして発展し、イスラム教徒やユダヤ人も多く居住していました。

ギリシャ独立戦争において、トリポリは重要な戦略拠点でした。1821年には、ギリシャ系住民が虐殺される事件が発生。同年夏には、オスマン帝国軍によるトリポリツァ包囲戦が繰り広げられ、多くの犠牲者が出ました。その後、独立軍による報復が行われ、ムスリムやユダヤ人住民が殺害されるという悲劇も起きました。

一時イブラーヒーム・パシャによって奪還されましたが、1828年にパシャが撤退する際、都市は破壊されました。

その後、トリポリは新しく建国されたギリシャ王国の一部となり、現在に至っています。

行政区画

トリポリ市は、アルカディア県の5つの自治体の1つです。2011年の地方制度改革により、周辺自治体と合併し、新たなトリポリ市が発足しました。

出身者

トリポリは、数々の著名人を輩出しています。

アレクサンドロス・パパナスタシウ （ギリシャ王国首相）
コンスタンディノス・ゲオルガコプロス （ギリシャ王国首相）
コスタス・カリオタキス （詩人）
ヤニス・クロス （マラソン選手）

姉妹都市

* ジュバイル（レバノン）

トリポリは、その地理的な重要性、豊かな自然、そして波乱に満ちた歴史を通じて、ギリシャの歴史と文化に深く根ざした都市と言えるでしょう。

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