トルクメンバシ (都市)

トルクメンバシ：カスピ海の要衝、歴史と変貌を遂げる港町

トルクメンバシ市は、トルクメニスタン・バルカン州に位置する、同国唯一の港町です。カスピ海東部のトルクメンバシ湾に面し、古くから交通の要衝として栄えてきました。かつてはクラスノヴォーツクというロシア名で知られ、その歴史は18世紀初頭まで遡ります。

ロシア帝国時代の軍事拠点

1717年、ロシアの探検家アレクサンドル・ベコーヴィチ＝チェルカースキーが、中央アジア進出の拠点としてこの地に砦を築きました。その後、1869年にはロシア帝国が本格的にこの地を掌握し、軍事施設を建設、クラスノヴォーツクと命名しました。ヒヴァ・ハン国やブハラ・ハン国への侵攻、そしてトルクメン人の支配を目的とした軍事拠点として機能しました。1920年には赤軍の支配下に置かれ、ソ連時代の歴史を刻みます。

トルクメンバシへの改名と現代

1993年、トルクメニスタン初代大統領サパルムラト・ニヤゾフが自らの称号「トルクメンバシ」（トルクメン人の長）にちなんで、この町の名称を変更しました。この改名は、ニヤゾフ大統領の権力強化を象徴する出来事となりました。その後、第2代大統領グルバングル・ベルディムハメドフ政権下では、観光リゾート開発への投資が活発化し、新たな発展を遂げようとしています。

資源と産業

トルクメンバシ市周辺は、豊富な石油と天然ガス資源に恵まれています。そのため、市内には大規模な石油精製工場が設置され、エネルギー産業が経済を支えています。また、港湾機能を生かした貿易も重要な産業となっています。ロシア人やアゼルバイジャン人の少数民族も居住しており、多様な文化が交差する都市となっています。

気候

トルクメンバシ市の気候は砂漠気候に分類されます。冬は冷涼で、雨や雪が降るものの、降水量は多くありません。晩秋から初春にかけて降水量が多くなり、一方、夏は高温で、日中の気温が35℃を超えることもありますが、内陸部と比較すると過ごしやすい気候です。夏は乾燥しており、降水量は少ないです。

交通

トルクメンバシ市は、陸海空の交通の要衝となっています。

空港

市郊外にはトルクメンバシ国際空港があり、国内主要都市やイスタンブールへの定期便、チャーター便が運航しています。

鉄道

市内南部にはトルクメン鉄道の駅があり、ウズベキスタンのタシュケントとを結ぶカスピ海横断鉄道の起点となっています。

鉄道連絡船

トルクメンバシ国際港からは、アゼルバイジャンのバクーへの鉄道連絡船が発着しています。これらの交通網により、トルクメンバシ市は国内外を繋ぐ重要な拠点となっています。

姉妹都市

トルクメンバシ市の姉妹都市はラトビア共和国のユールマラ市です。

まとめ

トルクメンバシ市は、歴史、資源、地理的条件など、様々な要素が複雑に絡み合い、発展してきた都市です。今後も、観光リゾート開発やエネルギー産業を中心に、更なる発展が期待されています。カスピ海沿岸の戦略的な位置を活かし、国際的な役割も担っていくことでしょう。

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